第六話〜眠りの者〜
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ないところだ。はたから見ると彼は気持ち悪くなるほど甘い人間だが、時折背筋がゾッとなる顔をする。悲しみなのか怒りなのか、わからない。ただ、自分にとってあの顔は、恐ろしく感じる。あの顔の裏には彼の何があるのか。
鞄を開けると、人工精霊のメイメイが忙しなく動き回っていた。どうやら当のマスターは双子と会っているらしい。
欠伸をして、まだ眠り足りないと二度寝をしようとした。が、これはもしやチャンスと見た。今のうちに彼のことを調べてみようと考えたのだ。
あの夜、まだ忘れられない。
彼が何者なのか、知っておく必要がある。
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涼しげなある日の夜、吹く風は草木を揺らす。大きな月が僅かに照らすのは縁側で空を見つめる青年、樢玖島紫苑だ。
「、、、、、。」
普段とは違い彼はどこか陰りのある表情をしている。そこへ、舞い降りた水銀燈。
「珍しいわね、この時間に起きているなんて。」
「、、、、、、。」
反応がない。無視するのはいいが、されるのは癪に触る。
「何か言いなさいよ。」
「、、、君は悪魔なのかもね。」
「、、、はぁ?」
理解できない。と思ったのだが、自分のようにイかれた部分がこいつにも有るのだと思った。
「あの子への当てつけのつもり?」
「ああ、そういえば君は天使だったんだね。忘れていたよ。」
めぐを意識して言ったというわけでもないようだ。それにしてもやはり雰囲気がおかしい。別人ではないかとも思える。
様子を窺っているとゆったりと話し始めた。
「めぐは君と死にたがっていただろう?」
「、、、、ええ。可笑しな子だったわ。」
「ふふ、そうだね。、、、でもね、本当は僕が一緒に死ぬはずだったんだ。」
「何のこと?」
少しずつ空気が暗くなっていると感じたのは、いつの間にか月が雲に隠れていたからだ。
「貴方はめぐを救いたかったのではないの?」
「それは、『彼』の言葉だね。」
「馬鹿にしてるの?お寝んねの時間かしらね?」
「あははは、確かに、『ボク』は眠っているね。」
「、、、、、『貴方』は、誰なの。」
雲が退き、光が彼を照らした。
「何てことはない。僕は君のマスターさ。」
いつもと同じの気持ち悪い微笑みで彼はそう言った。
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(アレは、何だったのかしら。)
やがて、二階にある彼の部屋らしきところに来た。この先に何かがある。
鍵は開いていた。
水銀燈はゆっくりと、部屋の中へと入っていった。
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「ここが、ローゼンのアトリエです。」
nのフィールドにある扉を開け
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