機動戦士ガンダム
2108話
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ターを拭かしてデブリ帯に向かう。
『ちょっ、おい、ムウ!? お前、どこに向かう気だよ!』
ヴェルナーが通信越しに叫んでくるのは、考えるまでもなく俺が向かう先にスペースデブリがあるからだろう。
「見て分かるだろ。ちょっと今の俺の操縦技術でいけるかどうか、試してみようと思ってな」
普通なら自殺行為と認識してもおかしくない行動だろうが、幸い……って言い方はどうかと思うが、俺の場合はもし何かあっても機体が壊れるだけで、命が失われるといった事はない。
……機体が壊れたら、その時点で今回の作戦に参加出来なくなるが……正直、大丈夫だという、半ば確信に近い予感があった。
『待てって、おい! デブリの中に突っ込むなんて、正気か!?』
「生憎と、俺は正気だよ。それにこの程度の事は、今まで何度も繰り返している」
『あーっ、くそ! 上に怒られるのは俺なんだぞ!』
『やらせてみな』
そう通信に割り込んできたのは、シーマ。
いつものように虎の毛皮の上に座りながら、手に持っている扇子をこちらに――正確には映像に――突きつける。
「いいのか?」
『ふんっ、あんたがやるって言って止まる訳がないじゃないのさ。ただし……あんたの機体は、今回の作戦に参加する者の多くが見ている』
そう告げるシーマの言葉に、俺は『は?』と首を傾げる。
いやまぁ、今の状況で機体の慣らしをするような者が少ないのは分かるが……だからといって、今の俺の状況をそれだけ多くの者が見ているというのは、正直驚きだ。
『ふふっ、あんたのMSの扱いは、それだけ人の目を集めるものだったのさ。当然、機体の識別信号から海兵隊に所属する者だってのは分かってるから、通信にはエンデュミオンの鷹、ムウ・ラ・フラガ少尉だって言っておいたけど……構わないね?』
「いや、構うか構わないかで言えば、勿論構わないんだが……いいのか? 異名ってのは、自分から名乗るようなものじゃないんだろ?」
赤い彗星や青き巨星、黒い三連星……それ以外にも様々な異名持ちは存在するが、それは別に自分から名乗ったのではなく、あくまでも他人から付けられたものだ。
それだけに、自分からエンデュミオンの鷹と名乗るのは……いや、今の俺はムウなんだし、それでいいか。
その辺の面倒は本物にぶん投げるとしよう。
何でエンデュミオン……月にあるクレーターの名前が? と言われれば言葉に詰まるが、ぶっちゃけそれは今更だしな。
『そうだね。だから、ここであんたの力を見せてみな。エンデュミオンの鷹という異名に相応しい技量をね。……それが、今あんたが色々な者達に見られている理由さね』
「分かった。なら、エンデュミオンの鷹らしく、操縦技術を見せてやるよ」
俺とシーマの会話に、ヴェルナーの立場で
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