第四幕その九
[8]前話 [2]次話
「あたしのガラスの像は動かないわよ」
「動くのは貴女だけね」
「そうよ、あくまでね」
そこはというのです。
「あたしだけよ、あたしは魔法の粉をかけられて動く様になったから」
「あたしと一緒にだったわね」
つぎはぎ娘も言ってきます。
「思えばその時からの付き合いね」
「そうなのよね、あたし達はね」
「長い付き合いよね」
「意識を持った時からだからね」
「そう思うと」
さらに言うつぎはぎ娘でした。
「あたし達は友達同士ね」
「そうね、第一のね」
「まさにね」
「何かガラスの猫が友達とか言うなんて」
ちょっと意外に思うナターシャでした。
「最初の頃と違うわね」
「意識を持ってすぐの頃ね」
「あの時の貴女はね」
「お友達とかはね」
「意識してなかったわよね」
「ええ、もうね」
それこそというのです。
「そうしたことはね」
「考えないでね」
「あたしはあたしでね」
「そうした風だったわね」
「猫だしね」
それにというのです。
「だからよ」
「そうよね、猫はね」
「お友達とかじゃなくてね」
「まず自分よね」
「自分がどうかじゃない」
「そのことは変わってないけれど」
「お友達を意識する様になったわ」
このことはというのです。
「そうなったわ」
「そうなのね」
「そう、つぎはぎ娘だけじゃなくて」
お友達と思うのはというのです。
「オズマもチクタクも他の皆もね」
「かかしさんや樵さん達もなの」
「勿論よ」
ガラスの猫はナターシャに胸を張って答えました。
「皆私の友達よ、あんた達もよ」
「五人共なの」
「そうよ、あんた達五人共ね」
それこそというのです。
「あたしの友達よ」
「そうなのね」
「ええ、だから今回も一緒に冒険してるのよ」
「そういうことね」
「そしてお友達としてあたしがいるから」
それこそとです、こんなことも言ったガラスの猫でした。
「今回の冒険は大船に乗ったつもりでいなさい」
「ガラスの船かしら」
「そうよ」
笑って応えたガラスの猫でした。
「あたしの身体はガラスだからね」
「乗る大船もなの」
「ガラスの船よ」
そうなるというのです。
「奇麗でしょ」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「何か割れそうな感じがするわね」
ガラスの船ならと言ったナターシャでした。
「そこは」
「それはあんた達の世界ならでしょ?」
「オズの国ならなのね」
「そうそう割れないわよ、特にあたしはね」
「貴女は絶対に割れないガラスね」
「その身体だからよ、しかも磨けば磨く程輝く」
そうした身体だからだというのです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ