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友達が欲しい
第二章

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「そんなに実感ないとか思うことはな」
「ないんだ」
「そうだと思うがな」
「そうだといいけれど」
 やはり実感を感じることなく言う小太郎だった。
「僕も」
「ああ、そんなに気にしないでな」
「友達作っていけばいんだ」
「これからもな」
「そうよね」
 母もここで言ってきた、白菜と鯖の缶詰をじっくりと煮たものを食べつつ。
「小太郎も頑張ってるから」
「友達を作ろうと」
「それで出来てきてると思うわよ、お母さんも」
「普通に話をする子が出来てきて」
「そうよ、あと友達ってね」
 ここで母は息子にこうも言った。
「何ていうかはっきりわかるかっていうと」
「自分が誰かの友達とか」
「そうしたものでもないんじゃないかしら」
「ああ、自分がそう思っていてもとかな」
 父も母のその言葉に応えた。
「相手は思っていないとかな」
「あるしね」
「じゃあ皆も」
 小太郎は両親の言葉を聞いて暗い顔で驚いた、そうして言った。
「僕を友達と思っていないとか」
「あるかもな、そして逆もな」
「僕が友達と思っていない子が僕を友達と思っている」
「そうしたこともあるだろ、結局友達っていうのはな」
「はっきりわからないんだ」
「そんなものだろ、だから難しく考えずにな」
 それでと言うのだった。
「人と付き合っていけばいいんじゃないか」
「そんなものなんだ」
「難しく考えないでな」
 また我が子にこう言った。
「そうしてな」
「それじゃあ」
「ああ、気楽に考えていったらどうだ」
 父は我が子に暖かい声をかけた。
「これからな」
「それじゃあ」
 小太郎は父の言葉に頷いた、そうしてあまり深刻に考えないで友達を作っていこうとも考えた。だがそんな時だった。
 不意にだ、日頃結構話していた部活の後輩が交通事故で死んでしまった。小太郎はその知らせに驚いて言った。
「あんないい子が死ぬなんて」
「ああ、だからな」
 それでとだ、部長はいつも以上に蒼白な顔になった小太郎に話した。
「彼のことは忘れない様にしよう」
「これからも」
「お通夜にも出よう、部員全員で」
「わかりました」
 小太郎は部長の言葉に頷いた、そしてだった。
 彼は後輩のお通夜にも出て冥福を祈った、だが彼が死んでからもだった。ずっと彼のことを思うのだった。
 そうしてだ、家でも両親に彼のことを話した。
「あんなにいい子いなかったのに」
「死んだんだな、交通事故で」
「そうなったのね」
「うん、そして」
 そのうえでと言うのだった。
「僕ずっとあの子が死んだこと残念って思っているんだ」
「ひょっとしてな」
 ここでだ、父が小太郎に行ってきた。
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