第二章
[8]前話 [2]次話
「そんなに実感ないとか思うことはな」
「ないんだ」
「そうだと思うがな」
「そうだといいけれど」
やはり実感を感じることなく言う小太郎だった。
「僕も」
「ああ、そんなに気にしないでな」
「友達作っていけばいんだ」
「これからもな」
「そうよね」
母もここで言ってきた、白菜と鯖の缶詰をじっくりと煮たものを食べつつ。
「小太郎も頑張ってるから」
「友達を作ろうと」
「それで出来てきてると思うわよ、お母さんも」
「普通に話をする子が出来てきて」
「そうよ、あと友達ってね」
ここで母は息子にこうも言った。
「何ていうかはっきりわかるかっていうと」
「自分が誰かの友達とか」
「そうしたものでもないんじゃないかしら」
「ああ、自分がそう思っていてもとかな」
父も母のその言葉に応えた。
「相手は思っていないとかな」
「あるしね」
「じゃあ皆も」
小太郎は両親の言葉を聞いて暗い顔で驚いた、そうして言った。
「僕を友達と思っていないとか」
「あるかもな、そして逆もな」
「僕が友達と思っていない子が僕を友達と思っている」
「そうしたこともあるだろ、結局友達っていうのはな」
「はっきりわからないんだ」
「そんなものだろ、だから難しく考えずにな」
それでと言うのだった。
「人と付き合っていけばいいんじゃないか」
「そんなものなんだ」
「難しく考えないでな」
また我が子にこう言った。
「そうしてな」
「それじゃあ」
「ああ、気楽に考えていったらどうだ」
父は我が子に暖かい声をかけた。
「これからな」
「それじゃあ」
小太郎は父の言葉に頷いた、そうしてあまり深刻に考えないで友達を作っていこうとも考えた。だがそんな時だった。
不意にだ、日頃結構話していた部活の後輩が交通事故で死んでしまった。小太郎はその知らせに驚いて言った。
「あんないい子が死ぬなんて」
「ああ、だからな」
それでとだ、部長はいつも以上に蒼白な顔になった小太郎に話した。
「彼のことは忘れない様にしよう」
「これからも」
「お通夜にも出よう、部員全員で」
「わかりました」
小太郎は部長の言葉に頷いた、そしてだった。
彼は後輩のお通夜にも出て冥福を祈った、だが彼が死んでからもだった。ずっと彼のことを思うのだった。
そうしてだ、家でも両親に彼のことを話した。
「あんなにいい子いなかったのに」
「死んだんだな、交通事故で」
「そうなったのね」
「うん、そして」
そのうえでと言うのだった。
「僕ずっとあの子が死んだこと残念って思っているんだ」
「ひょっとしてな」
ここでだ、父が小太郎に行ってきた。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ