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空に星が輝く様に
279部分:第二十話 準備の中でその九

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第二十話 準備の中でその九

「あいつがいるけれどね」
「あいつ動くかしら」
「動かないんじゃないの?」
 三人はここでじっと、であった。今日も教室に来た椎名と話す月美を見た。彼女は椎名と楽しげに話をしている最中だった。
 三人だけでなく星華も見ていた。そのうえで言うのであった。
「ねえ」
「うん、何?」
「どうしたの?」
「あいつ全然動かないでしょうし」
 決め付けであった。だが彼女の中ではそうとしか見えないし思えないものだった。
「文化祭の時はね」
「うん、どうするの?」
「それで」
「何かするの?」
「受付あいつにやらせようよ」
 目を怒らせての言葉であった。
「あいつにね」
「ああ、その日位は働いてもらわないとね」
「そうそう、いつも男に色目ばかり使ってるからね」
「それが仕事じゃないから」
 三人も忌々しげに星華の言葉に続く。
「それはやらせよう」
「絶対にね」
「そうしてやりましょうよ」
「勿論よ」
 また言う星華だった。
「たまには働きなさいっての」
「そうそう」
「融通利かないしね」
「動き遅いし」
「鈍いし」
 三人も彼女に続く。
「それでお勉強はできるしね」
「ガリ勉でね」
「何か余計に嫌な奴よね」
「もう楽々この学校に入ったらしいけれど」
 星華にとってはこのことも忌々しかった。
「私なんかもう必死で受験勉強したのに」
「星華ちゃんもそうだったの」
「私もよ」
「私も」
 これは三人もであった。彼女達も学校の成績はあまりよくはないのだ。そうした意味でも星華と同じなのである。だからこそであった。 
 四人はよく一緒にいる。まさに類は友を呼ぶだった。
 その四人がだ。あらためて話す。
「それでね」
「そうね」
「それでなんだけれど」
「今度は何?」
 星華はその四人の言葉を聞いた。
「文化祭のこと?」
「女の子もお店の中で出るらしいけれど」
「私何かな」
「そうよね、化け猫とか?」
「幽霊とかかな」
「あっ、それね」
 それを聞くとだった。星華も笑顔で言うのだった。
「それじゃあだけれどね」
「星華ちゃんは何がいいの?」
「何したいの?それで」
「どの役?」
「雪女か幽霊かしら」
 にこりと笑っての言葉だった。
「それがいいかしら」
「あっ、雪女いいんじゃない?」
「そうよね。星華ちゃん和服似合いそうだし」
「だったらね」
「そうよね。それ考えたら」
 ここでだった。星華は少し残念な顔になった。そのうえで話すのだった。
「失敗だったかしら」
「失敗って?」
「何がなの?」
「ううん、浴衣よ」
 話すのはこのことだった。

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