275部分:第二十話 準備の中でその五
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第二十話 準備の中でその五
そのうえでだ。彼等は話すのだった。
「いよいよはじまるな」
「秋の大イベントがね」
「よし、気合入れてくぜ」
「メイドになるわよ」
「執事にな」
「気合入れるのはそっちかよ」
陽太郎は今の二人の言葉にいささか冷めた目で突っ込みを入れた。
「執事とメイドにかよ」
「当たり前だろ、それになるんだからな」
「なるんだったらね」
「私も気合入れる」
椎名も出て来た。
「ちゃんとね」
「占い師もかよ」
「そう、タロット占い」
言いながらであった。実際に何処からかタロットカードを出してだ。そうしてそのうえでカードを切ってなのであった。
一枚出してきた。それは。
「上手くいきそうね」
「何だよ、そのカード」
「世界のカード」
それだというのだ。見ればだ。何か大樹のところに人がいる。そうしたカードであった。
「これはとてもいいカードだから」
「そうなのか」
「うん、これが出たら安心」
そうだという。
「私達のクラスは安心」
「よし、それじゃあな」
「気合入れていくわよ」
そのカードを見てもこう言う二人だった。
「俺は執事兼ホールスタッフだしな」
「私はシェフ長兼メイド長だし」
「何気に津島さん大忙しだね」
赤瀬がぽつりと話した。
「それって」
「忙しければ忙しいだけいいのよ」
まさに商売人の娘の言葉である。
「やるからにはね」
「成程ね。そうなんだ」
「そうよ。やるわよ」
津島は満面の笑みで両手を拳にしている。そのうえその背中には炎まで背負っている。まさに燃え上がっていたのである。
「売り上げナンバーワン目指すわよ」
「売り上げはアフリカの恵まれない子供達に寄付されるから」
椎名がこう話す。
「それと植林に」
「あれっ、俺達のものじゃないのかよ」
「それはないから」
狭山にも述べる。
「けれどいいことをするからね」
「そうだよな。寄付に植林に使われるからな」
「そういうこと。北朝鮮には一円も行かない」
「あそこは別にいいだろ」
陽太郎は素っ気無く言った。
「っていうか拉致被害者とっとと返せよ」
「嘘なかり言わないでな」
「全くよ」
これは狭山と津島も同意見であった。
「まあとにかくな」
「気合入れていきましょう」
またこう言った津島であった。そうしてその準備の日が迫ってきた。
その直前だ。陽太郎も月美もそれぞれの部活で言われた。
「部活は暫く休みだからな」
「文化祭の準備と本番に専念しろ」
「いいな」
こう顧問の先生や先輩達に言われてだ。実際に部活は休みになった。
そう言われた日の帰り道だ。陽太郎はこの日も月美と一緒だった。
そしてそこでだ。月美に尋ねた。
「あのさ
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