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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
00.K猫と白猫
序章
Phase.00

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―――――遠くで鐘が鳴った。

 白銀の、巨大な研究所の様な建物が、其の大きさの半分程を残して消滅した。
 元々建物が在った部分は、何かに抉られたかの様なクレーターが在る。
 その近くにある、真っ赤な血溜まりの中に、独り少女が立ち尽くしていた。目の前に在るのは、銃が握られた腕。
―――最期に御前も殺してやる。其れが俺の遣るべきことだからな。
 グシャリと何かが潰れる音がした。血が少女を濡らす。
 光を失った瞳が、何も無い虚空に向けられていた。

―――――遠くで鐘が鳴った。

 緋色の月が、少女を照らしていた。闇の様な外套を羽織り、白い肌を血で紅く染める少女を。
 少女が歩いた背後に広がるのは、死骸の山と、紅い絨毯。
 その中から、一本の腕と、銃が突き出された。
―――殺し、て……俺の遣る、べ……き、ことを……する。
 ボトリと死骸の山に腕が落ちる音がした。血が死骸を濡らす。
 光を失った瞳が、緋色の月に向けられていた。

―――――遠くで鐘が鳴った。

 青藍の月が、少女達を照らしていた。一人と少女と、二人の少年を。
 少女達が歩いた背後に広がるのは、崩壊した街。 
 最後に殺した人間は言った。
―――最期に、遣るべきことを遣ってやる。
 肩を組んで、高笑いする少女達。
 光を失った瞳が、二人の少年に向けられていた。

―――――遠くで鐘が鳴った。

 仄かな光が照らす部屋の中で、少女は頭を垂れた。
 眼前には一人の男。
 期待に満ちた瞳が、少女に向けられる。
―――――必ず、自分は奴等を殺して見せましょう。我が主の為、そして己の為。
 瞳に、初めて光が宿った。
 希望に満ち溢れた瞳が、男に向けられていた。

そして、―――――遠くで鐘が鳴った。
沈みかけた太陽が染める橙色の空の下で、少女は――――

 彼を拾ったのだ。

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