『ウィス』という存在
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「一大事ですわ!」
オカルト研究部の室内に朱乃の声が響き渡る。
時刻は夕方、本日もオカルト研究部は活動に励んでいた。
「どうしたのですか、朱乃先輩?」
彼女の余りの落ち着きの無さに一誠が疑問の声を上げる。
だが当人である朱乃の耳には届いていないのか、今もヒステリックに声を荒げている。
「ウィスに私が思い切り抱きついても、胸を押し付けても、可愛らしく声を掛けても何もリアクションを返さないのですわ!」
朱乃の心からの叫びにその場のリアスを含めた一同は彼女が言わんとすることを理解した。
「つまり朱乃はウィスとの距離を縮めたいのね?」
「その通りですわ!」
力強く首肯し、指を突き立てる朱乃。
「そうは言っても俺達はウィスさんのことを知っているようで何も知らないですよ、朱乃先輩?」
改めて考えると自分達はウィスのことを何も知らない。
「本人はウィスと名乗っており……」
「軽く4000年は生きていて……」
「その正体は天使にして、その力はただひたすらに孤高……」
「空を飛行することが可能で、宇宙にも飛翔し、別荘を宇宙に有している。」
「僕達の師匠にして、エクスカリバーでコカビエルを一掃し……」
「『破壊』という力でシャルバ・ベルゼブブを屠り……」
「北欧の主神にも人目置かれ、神を相手に一歩も引かない姿勢……」
「本人は大の神嫌いにして、聖書の神の死も知っていた。」
「教会から派遣されたイリナとゼノヴィアの精神をへし折り、現在そのゼノヴィアとロスヴァイセさんの2人で街に繰り出している。」
「一誠くん、そのことで少しお話が。」
「ヒェッ……」
「一誠さん……」
「もう、一誠の馬鹿。」
思いつく限り、知りえるウィスのことを列挙してみるが核心に至ることはない。
「……改めてウィスさんとは何者なのでしょう?」
「リアス部長は何か知らないのですか?」
「そうね、私も様々な文献を読み漁ったり、実家の方に問い合わせたりもしたんだけどお手上げね。『ウィス』という存在は歴史上にて一度も確認されていないわ。」
「……では一体ウィスさんは何者なのでしょうか?」
「そういえば朱乃先輩はウィスさんとどう出会ったのですか?」
「私ですか?そうですね……。」
先程まで惚けていた朱乃は皆に向き直り、真剣な面持ちで語り始める。
自分とウィスの出逢いを。
「私がウィスと出逢ったのはまだ私が幼い時でした。」
今でも思い出す。
為す術無く自身の母が倒れ、血だまりに伏した光景を。
「一誠君達は知っていると思いますが私は人間である母と、堕天使である父の間に生まれたハーフです。」
「ハーフとは古来より忌み嫌われる存在。当然、私もその例に漏れることなく
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