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2章 生き様
19話 処置
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 窓から高く上った日の光が差し込み、部屋の全体と、そしてその部屋に置かれたベッドを明るく照らしていた。



 そのベッドには一人の少女が眠り、その隣には一人の青年が片方の膝を伸ばし、もう一方を抱えて座っている。












 ツカサは、何をするわけでもなく、ただぼんやりと部屋の壁を見つめていた。リアはあれから目覚めず、隣で昏々と眠り続けている。


 部屋の中を満たすのは、リアの柔らかな寝息、明るい陽射し、そして静寂のみだ。







 だが、唐突にその均衡をツカサの頭に響いたアラームと、視界に広がる「新着メッセージ」の文字で崩される。





 そもそも、フレンド登録というものをしている人が少ないツカサにメッセージが来ることはほとんどない。たまにキリトから来るぐらいである。しかし、このタイミングはあまりにも不吉過ぎて、ツカサはそれを開くことをためらった。だが、結局開くことにする。




 案の定、それは嬉しいものではない。






 差出人は、“あの”ヒースクリフ。ツカサたちと同じように、ユニークスキル“神聖剣”を持ち、最強ギルドと名高い血盟騎士団の団長を務める、影響力がとても強いプレイヤーの一人だ。









 そんな彼とフレンド登録をしているということはさておき、ツカサはその内容に目を走らせる。それはいたって簡潔、拍子抜けするほどシンプルだが、その中の重みをツカサは感じ取った。



「君だけでも、彼女を連れてでもいいから、グランザムまで来てほしい」



 

 ツカサは、隣を見やる。そして、覚悟を決めると、ベッドを下りた。



























 55層主街区、“グランザム”。別名、鉄の都とも呼ばれ、その町は無数の鋼鉄の尖塔で形作られ、その手の職人も多くいる。そのあだ名の通り、町全体は灰色で覆われ、その金属独特の光沢は寒々とした雰囲気を与えている。


 ツカサは、そんな街をたった一人で歩いていた。すでに正午は過ぎているはずだが、22層の晴れ間とは打って変わって、空は灰色の雲が低く垂れこめていた。



 まるで自分の心の中を現しているようで、ツカサは思わず重くて長い溜息を吐いてしまう。















 巨大な鉄の塊のような城の入り口に立っている門番に、ヒースクリフからのメッセージを見せ、最上階へと昇る階段を昇る。


 自分の足音がやたらと廊下に響くような気がして、まるで童話の中の登場人物にでもなったような気分になる。



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