第119話 魔人は到達するようです
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「き、貴様らぁあああああああ!!」
あと一歩と言う所で、ツェラメルがいらん反応を検知した。
何かあってからでは遅いし、把握できていない危機程ここ一番で気持ち悪いものはない。
と言う事でジャンヌに全てを押し付け、中に揃って転移する。
「む。何事じゃ、愁磨?」
「うげっ!?」
「いやさ、ツェラメルが妙な事言うもんでさ。」
俺達が揃って現れたのは、アリカと千雨が戦っていた所。
片方は訝しみ、片方は固まり、俺の相方はと言うと―――
「『ふむ、まさか、いや、だがこれは………?』」
千雨に興味津々と言った様子で張り付き、答えを出した。
「『貴様、まさか、"全と無を関さぬ者"か?』」
「「「おーむ……は?」」」
全く意味が分からない、謎の名前を言われ、三人の声が揃った。
「『……"全と無を関さぬ者"。我であり人であり、龍であり虫であり、全であり無である。
私が"龍王"以前に創った、全ての雛型であり、完全な失敗作。
言ってしまえば、権限を一切持たない私の完全劣化版だ。』」
「……初耳だぞ、それ。」
降って湧いたような話だったが、それで説明がつくと思ってしまった自分が居た。
認識阻害が『効き難い』のも、全属性が使える『だけ』なのも、明日菜同様血縁の情報が全く
無かったのも。しかし疑問の方が多く残る。
「寿命の設定は?創造時に蓄積させた魔力とかけた魔法は?何故旧世界にいた?」
「『いや、それで分からなかったのだ。不老不死にした筈が成長しているし、私が旧世界の
世界樹都市にかけた内部に効果を発揮する認識阻害と同じ効果を外に発動させている。
魔法は元よりかけていないし、魔力も大魔法一発で空になる程度だ。
ああ、そして最も妙なのがだ。ケルベラス渓谷の最奥に封印しておいたのだが……?』」
「む?あそこの最奥は一番古い転移ゲートじゃろう?」
「『………何だと?』」
ツェラメルの説明で創造後の行方やらなんやらが分かったと思えば、最後の最後で、今度は
全てを知っている筈の管理者が首を傾げた。
だが、それで全て理解した。
「成程、つまり主神様は自由な手札として使う為に、最初期の最も警戒の薄い所で認識阻害を
ツェラメルにぶっかけて封印を転移ゲートに置き換え、旧世界で生き残らせる為に『都合の良く
なる術式』を千雨にかけたって訳か。」
勿論、この『都合の良い術式』は内外、周囲へ効果を発揮する物と千雨自身に発揮する物に
分かれる。千雨に約四百年もの記憶が無いのが証拠だ。
しかし――随分都合の良い事だ、吐き気が
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