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東方幻想探偵
1.Jの序章/始まりの終わり
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》の本棚』と呼んでいる。
 まあ、なんとかこの一年を過ごしてきたわけだ。だが、この一年なにもなかったわけではない。いいことも悪いこともいろいろあった。それも説明しなければならないだろう。だが、少なくともそれはいまではない。自己完結し、ゲームコントローラーを置きやっていたゲーム『爆走バイク』を一時停止させる。そう、まずすべきは、
「で、だいぶ脇道それちまったけど。ご飯だったけ?」
 冷める前に飯を食べることだろう。











「うん。うまい」
「そうですか?」
「うん。ほんとおいしいよ。早苗。ようやく戻ってきたって感じ?」
「一年前にどっかの誰かさんのせいで記憶が吹っ飛んじまったもんねぇ」
 うぐ!神奈子め。地味に反論できないことを言いやがって。確かに俺のせいってのがなくもないのはあるが、
「……悪かったよ」
「まあまあ。丞一さんも気にしないで」
「そうそう。神奈子も本気で言ってるわけじゃないし」
「本気にしないでおくれよ丞一。あれは誰のせいでもない。強いて恨み言を言うのであれば向こうに移るのが遅れたということかね」
「だろうな」
 そういいながら白飯をかきこむ。
「そういえば、紫さんからは何の連絡もないの?」
「ああ。あの妖怪が言うには一応迎え入れはできるそうだ」
 ほう。ついにか。
「幻想郷でしたっけ?ゾクゾクしますねぇ」
 幻想郷。この世界の裏側の異世界。この世界、何ならこの日本本州と地続きなっているが結界によって憚れているために決してたどり着けることのない秘境だ。ネコ秘境探索術つけようぜ。
 その結界は時たまに緩んでその結界の境界に入ってしまって神隠しのように向こうに行ってしまうんだとか。ここまでいえばお気づきになる方もいるだろう。秘封倶楽部の目指す場所もそこなのだ。今まで足取りがつけられなかったが、つい先日のことだった。









『ひぇぇぇぇぇぇ!殺されるぅ!』
「へんなこと言うんじゃねえ!勘違いされるだろうが!」
 そう、あれはちょうどドーパント追っていた時だった。
 後でわかったことだがそのドーパントはゾーン・ドーパント。地帯の記憶を秘めたドーパントで瞬間移動を繰り返してくる厄介な奴だった。何度も逃げられながらもやっとの思いで付けた発信機でドーパントを追っているときにあいつは現れた。
「待てや!ゴラァ!」
『くう。っ!前を見ろ!これ以上俺を追いかけまわすっていうんなら目の前にいる女を俺のレーザーで打ち抜く!』
 巻き込まれた彼女は気づいたのか、こちらを見る。日傘から覗かせるその瞳には不安はなく、俺をまるで見極めようと、試そうとしている。そんな目だった。
「人質なんかとってなめてんじゃあねえぞ。この慶条丞一がビビりあがるとでも思って
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