269部分:第十九話 お化け屋敷その十一
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第十九話 お化け屋敷その十一
「俺達って今」
「はい、デートしていますよね」
「ああ、してるよ」
それを今頷いて認めたのだった。
「確かにさ」
「こうしてデートしていても。全然怖くはありません」
「怖くないんだ、よかった」
「嬉しいです」
また俯いて微笑んだ言葉だった。
「とても」
「俺も」
「陽太郎君もですか」
「あの時は緊張したけれど今は落ち着いてるよ」
「そうなんですか」
「ああ、落ち着いてるよ」
また話す彼だった。
「だから。また一緒に行きたくなるよな」
「はい」
「明日も。明後日も」
「そしてそれからも」
「一緒にさ」
こう話すのであった。
「こうして下校の時は二人一緒にさ」
デートをして」
「そうしていいかな」
「御願いします」
月美の方からの言葉だった。
「私からも是非」
「ああ、それじゃあまた二人で」
「ずっと二人で」
「こうして一緒に帰ろうか」
「そうしましょう」
こんな話をした楽しい下校のデートであった。そしてである。
お化け屋敷のレイアウトや出しものは次の日の朝のホームルームで月美の口から四組全員に話された。するとであった。
「えっ、よくできてるし」
「確かに」
「これいけない?」
「いけるわよね」
「そうよね」
まずは三人が話した。
「こんなにできるって」
「とろそうなのに」
「何なのよ」
「あの」
月美はそのレイアウトをコピーにして皆に配っていた。これも椎名の呟きからである。それで皆に見せたうえでだ。彼等に対して尋ねるのだった。
「これでいいですか?」
「ええ、いいんじゃない?」
星華が憮然として答えた。
「これでいけるわよ」
「はい、それじゃあ」
「それにしても早いわね」
星華はここでこうも言った。
「あんたにしては」
「そうでしょうか」
「ええ、早いわ」
また言う星華だった。
「けれどそれでいいわ」
「いいですか」
「早ければ早ければいいのよ」
運動部に所属しているのがよくわかるはきはきとした言葉であった。
「そういうことだからね」
「わかりました」
「じゃあ後はね」
星華は月美にさらに話した。
「あんた細かいところやっておいて」
「あっ、それももう」
「書いてあるわね」
見ればコピーの紙にだ。これからの段取りやスケジュールまで書かれていた。やはりこれも椎名の呟きを書いてのものである。
「ここまでしてるの」
「書いてみましたけれど」
「よくできてるわね」
星華の言葉は少し忌々しげなものになっていた。
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