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第百十二話 一つの時代の終焉です。
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。左右上下に動くグリーン色の艦を眺めながら、機動要塞総司令室に佇むシャロンは微笑を浮かべた。一つの通信機器に歩みよると、意図を理解した通信士がノイズの出力を上げる。

『航行中の艦隊、速やかに指示に従い移動してください!!繰り返します、航行中の艦隊、速やかに指示に従い――。』

 エンドレスで繰り返される通信を聞きながらシャロンの微笑に蔑みの色が加わった。

「なんて愚かなのかしら。武力一つもたず、頼みの惑星間輸送も金融もすべてこちらが掌握しているというのに。自分が何一つ持たずに吼えているということを理解できないのは何故?幻想という物はこうまで人をおろかにしてしまうものなのかしらね。」
『閣下。』
シャロンが悠然と振り向いた方向にアンジェの無表情な顔が写っていた。
『全艦隊配備完了しました。』
「よろしい。ティファニー。」
シャロンの傍らに控えていたティファニーがやや青ざめた顔で進み出る。
「通信回路をフェザーンに向けて解放し、降伏勧告をしてちょうだい。期限は1週間。ただし・・・・。」
シャロンの微笑が濃くなった。
「二度はない、と。」
ティファニーは青ざめた。一週間という猶予は一見充分な検討時間を与えているように見えるが、シャロンは相手の立場など一顧だにしていないことがわかったからだ。混乱し、恐怖に怯え、情報と物資を封鎖され、追い詰められる様を見届けたい、ただそれだけなのだ。

* * * * *
 フェザーン市民はパニック状態になっていた。自治領主府からの退去勧告はすでに何度も発令されていたにもかかわらず、大部分のフェザーン人は出て行こうとしなかった。そのツケを今支払うこととなったのだ。
「自治領主府は何をしているんだ?!」
と言う声が盛んに飛び交ったが、とうの自治領主府は既に空であり、誰もそれに対応しようとしなかった。とっくに皆逃げ出していたのである。
 パニックになった人々が一斉に空港に押し寄せ、空港の職員ともみあいになり、シャトルに乗ろうとして押し合いへし合いになり数千人の死傷者が出た。また、少しでも郊外に逃げようとアッシニボイヤ渓谷等に逃走を図る人間もいた。

 その様子は軌道上の衛星カメラによって逐一シャロンに届けられ、彼女は微笑を浮かべながらそれを見守っていた。
 この騒ぎがそういつまでも続くわけではない事は彼女は知っていたし、むしろそれを望んでいたのである。だからこそ、艦隊には一切なにも手出しをさせずにただ包囲するだけにとどめたのだった。

* * * * *
帝国暦488年5月27日――。


惑星フェザーン衛星軌道上――


「降伏勧告期限を・・・・徒過しました。」
ティファニーがためらいがちに報告した。
「そう。で、返答は?」
その先の答えをわかっていると言わんば
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