第24夜 正答
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過ぎているが?彼女の吸血癖と加え、決定的だ」
「答え合わせに来た。貴方も知らず間違えている答えを、合わせに来た。だから鍵を渡して!」
「………時間の無駄だと思うがな。もはや好きにするがいい」
既に、彼の中でのギルティーネは『欠陥品』の烙印を三重に押されているようなものだ。今更一つ覆った所で総合評価は変わらない。では、三つ覆れば?更に一つ、加点が出来ればどうだろう。俺は鍵束から慣れた手つきで牢屋の扉を開け、中に入る。
そこには三度目となる、痛々しい拘束に縛られた少女がいた。
何も言わない彼女の顔を覆う鉄仮面を今すぐ外したいという欲求に駆られるが、一度歯を食いしばって別の場所――牢屋の端にあるギルティーネの荷物へと向かう。
見覚えのある細長いケースはすぐに見つかった。後ろの教導師が怪訝と微かな警戒を抱いているのを気配で感じつつ、箱を開けて剣を取り出す。彼女は軽々しく振り回していたが、思った以上に重い。それを近くに置くと、やっと鉄仮面を外して顔だけを解放する。
そこに、相も変わらず無表情で美しい少女の顔があった。
彼女の無機質なまでの蒼緑の瞳が、まっすぐこちらを見た。
問答はない。手足の拘束を外すこともない。ただ自分の推論を証明するだけだ。
トレックはギルティーネの剣を手に取り――己の腕を斬りつけた。
「痛……ッ!!」
「とち狂ったかね?」
「黙って、見てろ……!!」
一般的なサーベルより遥かに鋭い彼女の剣の刃は、指先より更に深く、さくりと肉を断った。激痛と出血に耐え、後ろの声に耐え、俺はその傷ついた手をギルティーネの口の前に突き出した。
「ギルティーネさん、この傷を治癒してくれないか?」
それが、俺の仮説だった。
ギルティーネはその言葉を聞いた瞬間、拘束された体を精一杯に捻ってトレックの腕の深い傷を艶めかしい舌で舐めとった。血の一滴さえ逃さないように、賢明に。瞬間、彼女の舌から強い呪法の力と『流』の属性の流れが発生した。
傷が、塞がっていく。
彼女の舌に舐めとれるたびに、腕の奥の神経と血管が繋がっていく。反比例するようにギルティーネの白い肌には口から零れた血が垂れるが、彼女は気にした様子もなく一心不乱に傷痕を舐めとっていた。やがて1分とかからず、それなりに深かったトレックの手の傷は綺麗さっぱり塞がった。
後ろを見ると、教導師が少なからず驚愕の表情でこちらを見ている。
トレックは、俺の勝ちだ、と誇るように笑みを浮かべて、こう言い放った。
「これが彼女の答えです。彼女は世にも珍しい『四行使い』であると同時に、下手をするとこの大陸で最高位の治癒術の使い手だったという事です。ご存知でしたかな?」
「これは――で
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