264部分:第十九話 お化け屋敷その六
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第十九話 お化け屋敷その六
「何か考えがあるのかよ、また」
「そう、また」
椎名はここでもぽつりと答えた。
「そういうレイアウトなら三十分ね」
「早いな、そりゃまた」
「レイアウトとかそういうのも決めるのも得意だから」
「それで三十分でできるのか」
「そう、できる」
また言う椎名だった。
「任せて」
「おい、他のクラスなのにいいのかよ」
陽太郎はこのことを問題にしたのだった。
「何か言われるぞ。いいのか?」
「それも大丈夫」
「大丈夫ってどうするんだよ、今度は」
「私は呟くだけ」
それだけだというのである。
「つきぴーはBGMを聴きながら考えて書いている」
「そういうことになるんだな」
「そう、そうなる」
まさにその通りだというのだった。
「そういうことだから」
「椎名ってそういうの本当に上手だよな」
陽太郎は思わず唸ってしまっていた。
「けれど三十分か」
「これで部活行けるわね」
「ああ。じゃあちょっと連絡するか」
「私も」
陽太郎も月美もそれぞれ携帯を出した。そうしてそのうえで二人共メールを打ってだ。すぐにそのメールを送信したのであった。
「これでいいな」
「そうね、これでね」
「じゃあ呟いていい?」
椎名はもう月美の傍に座っていた。動きが速い。
「今から」
「えっ、ええ」
月美は椎名のその言葉に頷いて応えた。
「それじゃあお願い」
「斉宮はどうするの」
「俺?」
「そう、どうするの」
「ええと、俺は」
「手が空いてるわよね」
「まあそうなるな」
「部活は遅れて」
つまり月美を待てというのだ。
「それでいいわね」
「部活はか」
「つきぴーを大事にしてくれるのなら待つ」
それならばというのだ。
「そういうことだから」
「ああ、わかったさ」
陽太郎もその言葉に頷く。
「じゃあ待たせてもらうな」
「そうして。じゃあ待つ間」
「ああ。何すればいいんだ?」
「赤瀬の手伝いしてきて」
それをしてくれというのである。
「その間は」
「あいつもう仕事はじめてるのか」
「そう、働き者だから」
「何も言わずに黙々と動くよな、本当に」
「それが赤瀬のいいところ」
椎名は今度は彼を褒めた。
「それもかなり」
「かなりか」
「そう、だから好き」
「好きなのかよ」
「っていうかここで言うか」
「事実だから」
椎名は隠そうともしない。
「隠さない」
「俺達はいいけれどな」
ここで陽太郎は自分達はいいとした。しかしであった。
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