暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
Alicization
〜終わりと始まりの前奏〜
天泣
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ップが地面に落ち、コーヒーの黒々とした水溜まりを作った。
(三月一日 ロシア、メジゴーリエ閉鎖都市 巡回中の警備探知ロボの音声ログより)
ガリガリ、と音がする。
それが集団で行き交う人の靴音だと、物言わぬ機械は判断することができない。搭載されているマイクが、極寒環境下ですこぶる調子が悪いのだ。いや、合衆国に比べて妙にケチケチしいこの国のことだ。どうせ適当な安価品なのだろう。
だがそんなお粗末なマイクでも、システムOSにデフォルトで入っている翻訳機能を応用し、矢継ぎ早に撒き散らされる言語を拾うくらいはできた。
『おい、どうなっている!?なぜ急に動かなくなった!!』
『わっ、分かりません!えー、どうやら、あー、外部から何かの信号を受信したらしいんですが……』
『外部からだと!ここがどこだと思っている!書類上ではとてもじゃないから残すことができないが、予算は確保するためにお偉方が骨を折って苦心して作った《玩具箱》だぞ!!回線はそもそも繋がってなんていない、完全なプライベートネットだ!!』
どうやら野太い男の声のほうが地位が高いようだ、と警備ロボの制御ユニットはのんきに思った。
そんな間も怒り心頭の声は途切れない。
『そんなコマンドなど、そもそも受信できるはずないだろうが!』
『……えー、おそらくですが、その信号専用の受信器官を、え〜、設計図段階から仕込まれていたのかと。それなら……あ〜〜。えー、全て辻褄が合います』
弱々しい男の声は、緊張とその他もろもろを言葉の端々に滲ませる。
どうでもいいが、「あー」とか「えー」が多すぎる。翻訳機能をベースにしているので、余計な単語が挟まると処理にくくなってしょうがない。こんな場末の警備ロボ一機の音声記録など、聞くことすらないのであろうが、こっちは仕事だ。やりやすいほうがいい。
『……まさか!ええい、クソッタレ!!この際、多少の管轄は無視しろ!国境警備隊に連絡し、人員補填を急げ!首を斜めに振らない連中だ!命令系統は取り戻せるのか!』
『あー、いえ、です……が…………まだ、策……は――――』
声が遠くなっていく。おそらく声の主自身が離れていったのだろう。
事の重大さを理解していないロボットは、話の内容にまったく興味を向けることなく、いつもの順路でパトロールを続行した。
(三月一日 アメリカ、ユッカ・マウンテン核廃棄物処理場、議事記録カメラの映像より)
ネバダにある本来存在しない、凍結されたはずの核廃棄物処理場のワンセクション。
土地の所有権という点では、軍の私有地から変わっていないため、実質上隠れ蓑とするにはこれ以上ない立地条件であるそこに、
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