第17話 砂漠の悪魔
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す。
大きくて暖かい手だった。なにかを感じられた。そのなにかがいったい何の事なのかは判らなかったが。今は 前を向いてただ進もうとエールは気合を小さく入れる。
「さぁ、砂漠踏破の冒険だね」
「おうよ!」
「行くだす!」
こうして、シャングリラへと向けて 砂漠越えが始まった。
シャングリラを囲む砂漠は広大であり、過酷な世界だ。日中は殆ど気候が変わらない炎天下。夜は急激に冷え込むと言う寒暖差が世界で一番激しい地帯であり、弱肉強食の世界とも言える。力尽き倒れようものなら、たちまち餌となってしまうから。
そんな過酷な世界でも、何ら変わらないのがゾロ。
エール達を陰ながら〜 と言う当初の目的通りに ゾロもシャングリラの方へと飛んだ。
そして―― シャングリラ周囲の砂漠で、想定外の事態が起こった。
「……クエルプラン」
見上げる程の巨体。異形な姿。何に形容すれば良いのかもわからない大怪獣。
クエルプランは、ゆっくりと歩を進めていた。……進路上にある全てを消失させながら。
何処に出現するか判らない災害。ゾロも当然把握してはいなかった。だが、出会ったらしようと思っていた事がある。
大怪獣クエルプランとの接触。言葉を交わす事だ。
「……お前がいる、と言う事は アイツも来ているか。 『……聞こえるか? クエルプラン』」
ゾロは飛ぶ高度をゆっくりと上げて、クエルプランの視線の先へと向かった。
――お……がい。わた………を、ころ………て。
クエルプランもゾロの存在に気付いたのだろうか。僅かにだが歩く速度が遅く、緩やかになり、無数に存在する眼がぎょろりと一斉に動き出した。途切れ途切れの 声に似たなにかが頭届く。
その気持ちをくみ取ったのか、ゾロは 険しい表情を見せた。
『……すまないな、今 お前の目的を、願いを果たしてやる事は出来ない。……だが、案ずるな。何れ必ず終わりが来る。……その時までの辛抱だ。今一度……耐えてくれ』
―――………わた……は、しね……ない?
『ああ。……お前は死ねない。死なす訳にはいかない。それに、お前自身も死ねないだろう? ……会いたい者がいる筈だ。違うか?』
―――あい、たい。あい……たい。
『そうだ。……心を穏やかに、保て。それだけで破壊衝動はある程度収まる。きっと……会えるから』
ゾロは誘導する様にゆっくりと飛ぶ――が、その直後、背後から空気を裂く音が聞こえてくる。それがまるで判って
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