ep24 報いを受ける時
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アレルヤ・ハプティズムは、右手を血の流れる額に当てながら、意識下に声をかけてみる。
ーーハレルヤ。
だが、アレルヤのもう1つの人格は何も答えなかった。機能していないモニターに映っているのはアレルヤを逆にしただけで、ただの鏡でしかない。
国連軍との戦いで、乗機であるガンダムキュリオスは戦闘不能である。右腕と右足を失い、トランザムでGN粒子をかなり消費していた。一定の間、機体は大幅な能力低下に陥る。
そもそも、アレルヤ自身が戦える状況ではなかった。
国連軍の中に顔見知りがいたことに気づいたのは、先ほどだった。キュリオスのGNシールドに挟まれた敵MSのコクピットを開けようとする、国連軍の兵士。ヘルメットの奥に見えるその女性の容姿を、アレルヤは知っていた。
ーーマリー。
アレルヤの幼いころの記憶に、その女性の顔が残されていた。人革連の研究施設にある広い個室のピラーで、彼女は目を開けたまま仰向けになって、脳に呼びかけていた。
名前を忘れた彼に『アレルヤ』と『ハレルヤ』の名前をつけてくれた彼女を思い出し、アレルヤは震える声を漏らす。
「マリー……。どうしてきみが……」
アレルヤの知る限り、彼女はソーマ・ピーリスという人革連の超兵1号だった。彼女の声も聞いていた。だが、その時点では気づかなかった。
一方、彼の半身ーーハレルヤはソーマ・ピーリスがマリーであることに気づいていたらしい。意識が消える前、ハレルヤはククッと笑っていた。
『知ったら、お前はもう戦えねえ。死ぬだけだ』
それは、ハレルヤなりの優しさだった。マリーがソーマ・ピーリスだと知れば、アレルヤは彼女との戦いを拒み、ピーリスに殺されていたかもしれない。あるいは、機体ごとマリーを助けようとしてガンダムを失っていたかもしれない。そうなれば、アレルヤは完全に居場所をなくしていた。
それでも、アレルヤはハレルヤの気遣いを上手く認めることができなかった。
ーー僕が殺らなきゃ、ハレルヤが殺っていたはずだ。
ーー生きることに貪欲なハレルヤは、自分が生きるためなら誰でも殺す。
だが、ハレルヤがいたから生き延びてきたこともアレルヤは理解していた。それだけに、『自分』が1度死んだ現実は重く冷たく彼にのしかかる。
ーー生き残った僕は、報いを受けなければならないのか。
国連軍がキュリオスを見つけるのは時間の問題だろう。アレルヤは捕虜となり、これまでの罪の裁きを受けることになる。拷問と尋問の中で、組織の情報を吐かずに生きる。それは死に最も近い生活になるはずだ。
アレルヤはモニター下のパネルを叩き、キュリオスの一機能を動かす。
その途端、キュリオスの背部分が開き、中から太陽炉
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