第5章:幽世と魔導師
第166話「逢魔時退魔学園」
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動けるのか!?」
しかし、手応えから避けられたと司は悟る。
「……瘴気だ」
「悪路王?」
「……あの集束する瘴気。あれによって守護者は傷を治したようだ。……それだけではないな。もしや、追い詰められるのを予期していたのか?」
「……だとしたら、笑えないな……」
悪路王の言葉に、優輝は顔を引き攣らせ。冷や汗を流す。
もしその通りなら、せっかく追い詰めた分が無駄になったも同然だからだ。
「う……く……!」
「く、苦し……!?」
「……霊術も扱えぬ娘にこの瘴気はきつかろう」
「なのはちゃん!帝君!」
集束する瘴気の影響を受けてか、霊術を扱えないなのはと帝が苦しむ。
すぐさま司が応急処置をし、戦闘不能に陥っていた澄姫を治療した織姫が対処する。
「……簡易的な護符よ。これで、この空気に耐える事自体は出来るけど……」
「……問題は、この後の戦闘に対処できるか、という事だな?」
「ええ。……嫌な予感がするわ」
「同感だ」
周囲を警戒する優輝達。
守護者は再び木々に隠れるように気配を隠し、何か仕掛けようとしていた。
魔法による結界は瘴気の影響で蝕まれるため、張ろうにも張れない。
霊力による結界では、張る際に隙が出来る。それを逃す守護者ではない。
そのため、再び更地にするには、相応の被害を出す必要がある。
時と場合によっては、それも辞さないと優輝は考えているが……。
「っ、来る……!」
その前に、守護者が動いた。
「これ、は……この、術式は……!?」
「結界の類……?でも、こんな規模は……!」
集束する瘴気、そして組み上げられた術式。
それは結界を構成するもので、しかし鈴には見たことがない規模だった。
「……こんな規模、護法霧散でも祓いきれないわよ……!」
「っ……!」
復帰した澄姫の言葉に、優輝が咄嗟に守護者に攻撃を仕掛ける。
だが、一歩遅かった。
―――“我が愛しき魂の故郷”
「ッッ……!?」
世界が塗り替えられる。
戦闘で荒れていた木々などは消え、江戸時代辺りの木造建築が現れる。
「な、に……?」
「嘘、ここって……!?」
その光景に、悪路王と澄姫は見覚えがあるのか、驚きの声を漏らす。
二人だけではない、織姫と蓮も、驚いていた。
「まさか……!」
「逢魔時、退魔学園……!」
そう。その光景は、彼女たちがかつて力を研鑽していた地にそっくりだったのだ。
「それって、陰陽師を育成する……」
「学び舎のようなものです。……同時に、ご主人様の家でもありました」
「……なるほど……」
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