167 今後(これから)
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とある幼稚園。吉川みどりはすぐに泣いてしまう女子だった。同じ幼稚園児の者は彼女が些細な事ですぐに泣いてしまうので一緒に遊ぶのを敬遠するようになっていた。みどりは一人で遊んでいた。ある時、一人の可愛らしい女子に声をかけられた。
「ねえねえ、みどりちゃんも一緒に遊ぼうよっ!」
「え?」
みどりにとってこんな自分に声をかけてくれる子は彼女が唯一だった。
「貴女はええと、姫子さんでしたよね?」
「そうよ」
「えー、やめようよ、みどりちゃんなんか誘うの。すぐ泣くんだもん。疲れちゃうよ」
「だからって一人にするなんてよくないわよっ!!」
その姫子という子は反論した。みどりは彼女に支えられて幼稚園生活を過ごしたようなものだった。泣き虫だと虐められた時も姫子という子が庇い、ゲームで負けて泣いてしまった時も彼女が慰めていた。
しかし、卒園後は学校が別々となり、みどりは再び一人ぼっちになってしまった。一人のとある女子が転校してくるまでは・・・。
「ええと、城ヶ崎さんだったね。ごめんね、迷惑かけて」
「いいのよ、あいつらが悪いんだから」
「う、うん・・・」
「それにしても君の家凄いね、暖炉があるなんて!まるでヨーロッパだよ!」
みきえは城ヶ崎の家に目を光らせていた。
「えへへっ、ヨーロッパ風の家にしてあるのよっ!」
堀はまだ体をバスタオルでくるんでいる状態だったが、城ヶ崎に藤木とたかしが入る事を許可させた。藤木とたかしは半裸の状態の堀の姿を見る事に申し訳なさそうに入った。
「う、やっぱり男の僕達は先に帰った方がよかったかな?」
「そんな事ないわ。まだ喋りたい事があるからね」
「喋りたい事?」
「貴方達の犬、とっても可愛いね」
「えっ?あ、ありがとう・・・」
「私も前は犬を飼ってたのよ」
「え?そうだったんですか!?」
みどりも驚いた。彼女は前に堀が住んでいた笛吹の家に行った事はあったが、犬を飼っている様子はなく、今の彼女の家にも犬はいない。
「そうよ、でも年取ってたし、去年病気で死んじゃったの・・・」
「そうだったんだ・・・。でも本当に僕の犬を助けてくれてありがとう」
たかしは改めて堀に礼をした。
「うん、貴方はいい飼い主ね。犬の気持ちを凄く分かってるみたいだし・・・」
たかしは今の堀の台詞とほぼ同じ事をみぎわも行っていた事を思い出した。確かに客観的にはいい飼い主かもしれないが、たかしにはある罪悪感があった。
「うん、僕は犬が好きなんだ。このタロは知り合いのおばさんの犬の子供を貰ったんだよ。大事に育てるって決めたから死なせる訳にいかなかったんだ。でも君に代わりにこんな目に遭わせて僕は最低な男だよ・・・」
たかしの目に涙が溢れた。本来ならば自分が川に飛び込んでまで助けるべきだったのにその役目
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