254部分:第十八話 運動会その十二
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第十八話 運動会その十二
「それが失敗だった」
「そうか。それで最後にああなったんだな」
「わかっていた。同じクラスだったら何があっても出さなかった」
そうしたというのである。椎名は冷静に話す。
「けれど違うクラスだったから」
「言わなかったのか」
「そうなの」
こう陽太郎に話す。
「けれど」
「けれど?」
「頑張ったことは確か」
それはだというのである。
「だからそれは認められるから」
「ああ、そういえばな」
陽太郎は今の椎名の言葉にまた気付いた。
「あれだよな、優秀選手ってあったよな」
「それと最優秀選手」
それもあるのだというのだ。
「最優秀選手は」
「誰がなるんだろうな」
「佐藤さんは有力候補」
「一等四つも取ったからその資格はあるよな」
「そう、だからいける」
「それって得点高いよな」
陽太郎は腕を組み考える顔になって述べた。
「特に最優秀選手は」
「若しかしたらそれでまた得点入る」
「じゃああれか?」
「うん、その分四組にプラスされたら」
「わからないか」
「そう、わからない」
また話す椎名だった。
「その辺りは」
「うちのクラス優勝難しいか?」
「大丈夫」
「まさかその点数も考えてたのか」
「そう。だから安心していい」
椎名の計算は用意周到であった。そこまでであったのだ。
「だから」
「そうか。だからか」
「それじゃあ後は閉会式に出るだけ」
やはり至って冷静である。
「それだけ」
「そうだよな。閉会式が終わるまでが運動会だよな」
「そういうこと。全部終わってやっと落ち着くこと」
そしてだ。こうも言うのであった。
「勝って兜の緒を締めよ」
「だよな。油断するなってことか」
「それだけじゃない。それからもある」
「それからも?」
「ある」
「っていうとあれか」
話を聞いてだった。陽太郎はすぐに述べたのであった。
「文化祭もか」
「余勢をかるのはいいけれど油断は駄目」
この辺りも実によくわかっているのであった。
「文化祭のことはもう考えてあるし」
「それで何するんだ?文化祭は」
「運動会が終わってから考える」
その時にだというのである。
「そういうことだから」
「そうか。それじゃあ待っておくからな」
「うん、期待していて」
こうした話の後でだった。彼等は閉会式に出た。そこで優勝チームも発表された。それは。
「同点か」
「そうね。まさか最優秀選手の得点が入るなんてね」
津島が狭山に応えていた。
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