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デート・ア・ライブ〜崇宮暁夜の物語〜
兎を狩る獣
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『・・・・』

砂嵐のようなものが響くだけで、返答がない。

「誰かと話そうとしてたみたいだけどさ、無駄だよ。 私のCRユニットから発せられるジャミング波で通信機器は全て機能しないからね」

「き、気づいてたのか? コイツに」

青年は耳の穴に嵌められているインカムをつついて、ひきつった笑みを浮かべた。それに対し、

「ううん、気づいてなかったよ。ただ、空間震警報が聞こえていながら避難せず、精霊の元に来るってことは、バックに何かしら精霊を知る組織があると想定して、お仲間を呼ばれないようにジャミングしただけだよ。 ちなみに、《ハーミット》は、そこから動かない方が身のためだよ? じゃないと−−」

「・・・!?」

「・・・え?」

「・・・ぬ?」

リンレイの言葉がかけられると同時に、風が吹き抜けた。その風はそよ風と呼べるレベルではなく、暴風の塊が吹き飛んできたようなレベルだ。青年と十香の視界にコミカルな意匠の施された、ウサギの人形(パペット)が映った。その下には何も無い。ただ、人形(パペット)だけがそこにあった。

「・・・よ、よしのん!?」

青年が先程まで隣にいたはずの少女に振り返る。 が、そこに少女はいない。暫く周囲を見渡すと、

「よしのん!?」

デパートの壁に激突し、額から血を流した《ハーミット》の姿があった。青年は直ぐに駆けつけようとするが、

「邪魔をするなら、君も殺すよ」

首に強い衝撃を受け、耳元でそう囁かれた。

(く、首が・・・締まっ)

機械の手で首を鷲掴みにされ、呼吸がしにくくなり、青年は悶える。その時、

「貴様! シドーから離れろ!!」

十香がそう叫んで、リンレイの纏うCRユニット<モルドレッド>の機械鎧(オートメイル)を叩く。が、人の力で何とかなるような代物ではない。

「に、逃げろ・・・と、十香」

「君も私の邪魔をするんだ? それって私に殺されても文句は言えないよねえ?」

そう告げた瞬間、<モルドレッド>の機械鎧(オートメイル)が紅闇色に輝き、ジャキンと音を上げ、十香の腹部辺りに位置する背中装甲が左右に開き、拳大の針が射出された。

「−−っ!?」

十香はその針をギリギリのタイミングで躱すが、脇腹を掠り、制服に血が滲んだ。普段の彼女であれば、霊装で防ぐことも出来たが、今は精霊の力を封印されたただの人間だ。

「このままでは・・・シドーが!」

ギリギリと力を込められ首を絞めあげられていく士道の姿に十香は歯軋りする。どうしようもない状況下。 その時、

「・・・【氷結傀儡(ザドキエル)】・・・っ!!」

壁に激突し、額から血を流していた《ハーミット》からそんな声が響いてきた。


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