第2ルート:四糸乃パペット
日常
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逸らした。対する暁夜は冷や汗を大量にかきながら、背後を振り返った。
そして−−暁夜の最初の黒歴史が刻まれた。
?
放課後。日が傾き始める住宅街の道を、足腰の弱ったお爺ちゃんのような足取りで進んでいく。顔は疲労の色に染まり、目に掛かるくらいの髪にも、心なしか艶がない。歳はまだ17だったが………実際何歳か老けて見えた。だが、それも無理からぬことだろう。
「・・・はぁ」
溜め息をもう一つ。小休止の女装事件以来、クラスメイト達からは『暁子』ちゃんと呼ばれていじられていた。ソレは学校が終わっても続いていき、定着されてしまった。
「どうしたの? 暁子」
「・・・その名前、やめてくれ」
「どうして? 私はあなたが女性になった方が嬉しい。 同性同士なら何をしても許されるから」
「同性同士でも許せないことはあるからな!? てか、そもそも、お前が殿町に制服を渡してなかったら、こんなことには・・・はぁ、もういいや」
どうせ怒っても無駄だと自己解決して、暁夜はどんよりしたまま折紙と一緒に家へと向かう。暫くして、
「・・・冷たっ」
首筋に触れた冷たさに、空を見上げる。
「あぁ、これはやばいな」
呻くように言って、顔を顰める。いつの間にやら、空がどんよりと雲っていたのだ。
「まぁ、念の為に傘持参してたからいいけど」
暁夜は鞄の中から折り畳み傘を取り出して開く。と、そのタイミングで折紙が寄り添うように傘の中へと入ってきた。
「お前、また傘持ってこなかったのか?」
「違う、わざと忘れてきた。あなたと相合傘をしたかったから」
「はぁ。 お前、俺が用事があったり、休んだりしたらどうしてたんだよ?」
「その時は、暁夜の用事が終わるまで待つ。休んだ場合は、私も休む」
「・・・さいですか」
暁夜は、何を言っても無駄だと諦める。と、ズボンのポケットに入れていた携帯が震えた。だれからだ?と疑問に思いながら、携帯を取り出し、液晶画面に映し出されている名前を見る。 そこには、『リンレイ先輩』と記されていた。確認した後、折紙に一言言ってから、軽く操作して、通話ボタンを押す。するとメロディが止まり、
「暁夜です。 お久しぶりですね、リンレイ先輩」
『久しぶりね、暁夜君』
若い女性の声が携帯越しから響く。
「三年ぶりですかね? こうやって電話するの」
『そっかぁ。 君がいなくなってもう三年も経つのね』
「ええ、そうなりますね。ただ、今回電話してきたのは思い出話のためだけじゃないですよね?」
『ふふふ、流石は私の元優秀な部下なだけはあるわね。けど、思い出話もしたいと思ってるわ』
暁夜の先を見越したような質問に、リンレイは驚く
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