序章が終わり
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かに「ええ」と答えた。
「それどころか、自力では隣界に消失することすら困難でしょう」
『−−では、崇宮暁夜とはどういう人間なんだね。精霊とあそこまで戦える・・・ましてやCRユニットも無しで『プリセンス』を追い詰めるとは。 君は知っているか?』
今度は、泣きネズミが問うてくる。
「その事でしたら、現在、部下に調べさせております。 ですので、分かり次第ご報告申し上げます」
『そうか。だがあの力は・・・きっとこの先、我々の脅威となりえるだろう。くれぐれも気をつけろ』
「ご忠告感謝します」
琴里はそう言って、頭を下げた。 そして数秒の後、今まで一言も喋っていなかった、クルミを抱えたリスのぬいぐるみが、静かに声を発した。
『−−とにかく、ご苦労だったね、五河司令。 素晴らしい成果だ。 これからも期待しているよ』
「はっ」
琴里が初めて姿勢を正し、手を胸元に置いた。
?
『プリンセス』討滅完了から三日後の朝。とある高校の上空にソレはいた。人というよりノイズに近い『何か』。
『−−見つけた。 やはり君が持っていたんだね』
男なのか女なのか、低いのか高いのか、それすら分からない奇妙な声音を響かせている。言葉の内容は認識出来るのに、その特徴が一切聞き取れないのだ。
その『何か』は、校舎を見下ろすような形でそう呟いていた。その『何か』が向けているであろう視線の先には――椅子に座り眠たそうにしている薄い少し色素の抜けた青髪の青年の姿があった。
『・・・どうやらまだ上手く扱えていないようだが、あまりその力は使っていけないよ。 でないと−−』
『何か』は首を振るような動作を見せ、
『滅んでしまうよ』
そう呟いた。その際に漏れた言葉には、親が子を心配するような思いが込められていた。そして、
『君がいなくなっては彼を守る者がいなくなってしまう。 それに、君と彼、そして−−私と彼女が揃わなければ■■じゃないからね。 だから−−』
『何か』は、薄い少し色素の抜けた青髪の青年と青髪の青年が黒髪の少女の登場に驚いている光景を眺めて、
『あの男を、手遅れになる前に思い出す事を願っているよ。暁夜』
それだけを言い残して、『何か』の姿は消失したのだった。
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