序章が終わり
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、微かに<フラクシナス>が震動した。
「士道」
「ん、なんだ?」
「封印の方法は分かってるわね?」
「あぁ、分かってるよ。 覚悟は決めた」
士道はそう言って、転送装置に足を踏み入れる。それを確認した琴里が
「戦闘ポイントに移動は出来てる?」
「はい!準備万端です!いつでも彼を送れます」
操舵手のクルーのうちの一人がすぐさま返答する。
「オーケイ、上出来よ。じゃあ、転送をお願い」
「了解!」
クルーが返事をしたタイミングで、ワープ装置が起動し、士道の全身を光が包み、消える間際、
「頑張ってね、おにーちゃん」
「あぁ、おにーちゃん頑張ってくる」
と、士道は琴里の言葉にそう返し、<フラクシナス>内から消えた。
?
空間震警報のサイレンが騒がしく鳴り響き渡る天宮市付近の開発地帯だった台地。 木々はへし折れ、地面は巨大なスプーンで抉り取られた様なクレーターが生じていた。オマケに、所々にベッタリとした赤い血が付着し、そのクレーターの中心には、仰向けで自身が作り出したと思われる血溜まりに倒れ込んだ状態の『精霊』と呼ばれる人ならざる存在と、右手に握られた黒紫の片手剣の切っ先を倒れ込む彼女の眼前に向けて、酷く憎悪に満ちた深く暗い両の瞳で見下ろした格好で立つ、人でありながら人を辞める手前まで足を踏み入れてしまった存在の姿があった。
既にこの場にいるのは少年と少女二人のみ。数分前までいたAST隊員達は退避した後だ。
「−−これで、終わりだ」
黒紫の片手剣【明星堕天】を高く振り上げ、暁夜は憎悪で染まりきった瞳を不安や悲しみに変えることなく、底冷えた声を上げた。
その瞳に対し、十香は何処か哀しげなそして嬉しそうな表情で、
「あぁ・・・。 これで解放されるのだな。辛いことや・・・悲しいことからも・・・」
と呟いて両腕を広げた。無抵抗の意思を暁夜に見せつける十香。 その態度に答えるように、右手に握る【明星堕天】の柄を両手で握り込み、
「さよなら、十香」
「初めて私の名前を呼んでくれたな。 暁夜」
その言葉を最後に、黒紫の刀身が十香の両胸の中心部を貫い−−
「暁夜・・・ッ!!」
背後から、聞き覚えのある青年の声が響いてきた。それに伴い、振り下ろしかけていた黒紫の片手剣の動きが止まる。 暁夜は視線を十香に向けたまま、口を開いた。
「何しに来たんだ? 士道」
その言葉に対し、士道は拳を握り締め、息を吸い、そして答える。
「お前を止めに来た!」
「−−俺を? 何のために?」
「そんなの決まってんだろ。十香を救うためだ!
士道は、普段と
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