半精霊:明星堕天(ルシフェル)
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T隊員達の真ん中に現れた。瞬きを一度しただけの数秒で移動した『プリンセス』に、全員が驚き、身体と思考を固まらせた。
「−−−終われ」
そう『プリンセス』が呟いた瞬間、黒い輝きを放つ光の粒のようなものがいくつも生まれ、剣の刃に吸い寄せられるように収束していく。やがて、剣の刃が闇色の輝きを帯び、握る手に力を込め、振り下ろした。
そして−−燎子達の悲鳴が響き・・・
「−−させるかってんだ! 化物!!」
暁夜の声が響き渡り、右手に《アロンダイト》ではなく黒紫の片手剣を握り、下方向から叩き上げる。全身全霊の力を込めた暁夜の一撃。闇色の剣の刃と黒紫の片手剣の刃が触れた瞬間、火花が散り、爆風が生じた。大気が揺れ、木々がミシミシと悲鳴をあげる。
「まだ生きていたのか。 崇宮暁夜!!」
「あいにく、案外しぶといんでねっ!!」
ギュオン!
と、暁夜の握る黒紫の片手剣が眩い紅色の光の粒によって染まっていく。それに伴い、手当をしていない状態の切り裂かれた傷口から血が噴出した。とてつもないほどの痛みが頭を襲い、意識を刈り取ろうとする。それは、理性の枷を壊そうと心の中で獣が暴れる感覚。また、灼熱に身を焼かれるような感覚。色々な痛みが身体を襲い、その度に黒紫の片手剣に紅色の光粒が収束していく。それは痛みを贄とし肉体を強化させる暁夜が生み出した《精霊》の力。
黒紫の片手剣【明星堕天】。 暁夜の体内に眠る《精霊》の力によって生み出された武器の名前。但し、半精霊の為、真の精霊の力の半分しか使用出来ない。オマケに、空間震や精霊反応はない。弱すぎるのだ。精霊としての力が。彼の中に眠る精霊の力をレーダーで捉えるのは、広大な砂漠の中で指輪を探すようなものだ。そういう訳で、半精霊の力を補うために、『擬似記憶装置』の幾つもある機能のひとつ【擬似強化】を同時に発動していなければならない。但し、一時的にしか強化できないため、五分も持たずに天使は機能を失う。現在の最高持続時間は三分。
本来は、短期戦の際にしか発動しない切り札のひとつだったのだが、今回は仕方ない。と暁夜は妥協したのだった。
「どうして『精霊』を憎む!どうして『精霊』を殺そうとする! どうして『精霊』を嫌う!貴様らに『精霊』の気持ちがわかるか? いつも独りで・・・訳も分からずこの場所に現れては、貴様らに命を狙われ、その命を奪うことがどれほど『精霊』にとって辛いことか!!命を摘むという行為が・・・命を狙われるという事が、どれだけ『精霊』の心を殺してきたのかを!!」
十香は吠える。なんで分かってくれないのかと。何故、自分は目覚めた時から不幸なのかと。 何故、自分は
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