暁 〜小説投稿サイト〜
デート・ア・ライブ〜崇宮暁夜の物語〜
半精霊:明星堕天(ルシフェル)
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ラクシナス》艦橋。 正面モニタには身体を木の枝に貫かれた士道と、精霊・十香の戦闘映像が表示されている。

部下の動揺も分からなくはなかった。

状況は、圧倒的に、絶対的に、破滅的に、絶望的だった。ようやく空間震警報が鳴り始めたようだが、住民の避難はほとんど終わっていない状態で、十香と暁夜の戦闘が始まってしまったのである。 人の住んでいない開発地で、というのが唯一の救いだが−−十香の一撃は、そんな楽観を容易く打ち砕いた。

今までの十香が可愛く見える、超越的な破壊力。

たったの一撃で開発地は二分され、中心に深淵を作ってしまった。 そして−−《ラタトスク》の最終兵器であったはずの五河士道の突然の死。 琴里達は、考える限りの最悪の状況に立たされた格好になっていた。

だが、

「ま、あれぐらいなら大丈夫そうね」

琴里はさほど深刻そうな調子も見せずにそう言って、キャンディの棒を動かした。そんな琴里に、クルー達が戦慄したような視線を向けてくる。まぁ、仕方あるまい。 今まさに兄が死亡したばかりなのである。 だがそんな中にあって、令音と神無月だけは違った反応を見せていた。

令音は、平然とした様子で十香と暁夜の戦闘をモニタリングし、データを採取している。

神無月の方は相変わらずの様子だ。

「とう」

「はうッ!?」

相変わらずの神無月のすねを蹴り飛ばすと、その場に立ち上がった。 そしてフンと鼻を鳴らしながら、半眼を作って告げる。

「いいから自分の作業を続けなさい。 士道が、これで終わりなわけがないでしょう?」

そう。

ここからが、士道の本当の仕事なのだ。

「し−−ッ、司令! あれは・・・!」

と、艦橋下段の部下が、画面左側−−公園が映っているものを見ながら、驚愕に満ちた声を発してきた。

「−−−来たわね」

キャンディの位置を変え、にやりと口元を歪ませる。

画面の中には、のしかかる体重によってへし折れて木の枝から落ちた士道が映っていたのだが−−着ていた制服が、突然燃え始めたのである。

精霊の生成物が消失しているとか、太陽光によって火がついたとかでは、ない。 だって、燃えていたのは制服ではなかったのだから。制服が燃え落ち、綺麗に数カ所を貫かれていた士道の身体が露わになる。

そこで、《フラクシナス》のクルー達は再び驚愕の声を上げた。

「き、傷が−−」

そう、傷口が。 ドス黒い貫かれた穴が、燃えている。その炎は士道の傷を見えなくするくらいに燃え上がってから、徐々にその勢いを無くしていった。 そしてその炎が舐めとったあとには、完全に再生された士道の身体が存在していた。

『−−−ん、』

画面の中に横たわった士道が、

『ん・・・・・・
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