届かなかった手
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だ。 死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。
「と、おか」
士道は四つん這いの体勢で、すがりつくように十香だったものを揺らす。しかし、反応はない。 涙が零れた。憎悪や怒りなんてない。心に穴が空いてしまったかのような状況下。 士道は十香の身体を抱き締め声にもらない声で泣いた。
その時−−
「・・・シ、ドー」
耳元に十香の声が聞こえてきた。もう聞こえないはずの声。あぁ、ついに自分は幻聴を聞くようになったか。と士道は自嘲する。だが、その後に柔らかく温かい手のひらが士道の髪に触れた。
「と、おか?」
士道はか細い声で十香の名を呼んだ。それに対し、答えは−−返ってきた。
「にげろ・・・シドー」
ただ、返ってきた答えはどこかを変だった。 まるで何かに怯えているかのような、切羽詰まった懇願だった。
「はやく・・・制御、できな」
「なにいっ−−」
十香の意味不明な懇願に聞き返そうとする瞬間、足が地から離れ、暴風に身体を軽々と吹き飛ばされていき、木の枝の上へと背中を打ち付けた。否、背中を貫いた。何とか心臓や肺の部分は免れたが、鋭い木の枝は易々と士道の背中を貫いていた。
「・・・かふっ!?」
遅れてやってきた痛みに血を吐く。意識は薄れていく。 まず、音が消えていき、次に痛みが、そして−−世界が視界から消えていく。その時、一瞬だけ見えた彼女の瞳は……光を失っていた。
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