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デート・ア・ライブ〜崇宮暁夜の物語〜
デート 後編
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が、まあ、<ラタトスク>の指示である。何かあるのだろう。
 
「・・・行ってみるか?十香」
 
「うむ!」
 
 十香も乗り気なようなので、取り敢えず足を運んでみることにする。
 場所は本当に近かった。この福引き所から路地に入って数百メートル。また両側には雑居ビルが並んでおり、とてもではないがテーマパークがあるようには思えない。

だが―――

「おお!シドー!城があるぞ!あそこに行くのか!?」
 
 十香が今までになく興奮しながら、前方を指差す。士道は、そんな馬鹿なと思いつつチケットの裏面から視線を外して顔を前に向ける。
 
「・・・ッ」
 
 瞬間、士道はその場に凍りついた。
 確かに小さいながらも、西洋風のお城である。看板にドリームランドとも書いてある。
ついでにその下に『ご休憩・二時間4000円〜 ご宿泊・8000円〜』という文字も書いてあった。まあつまりは、大人しか入ってはいけない愛のホテルだった。

「も、戻るぞ十香・・・っ!俺ってばうっかりさんだから道を間違えた!」
 
「ぬ?あそこではないのか?」
 
「ああそうだ。ほ、ほら、早く戻るぞ」
 
「あそこにも寄っていかないか?入ってみたいぞ」
 
「・・・ッ!い、いやいやいや。今日のところはやめとこう!な!?」
 
「むう・・・そうか」
 
 残念そうに言う十香には悪かったが、流石にあそこは無理である。 士道は、恐らく上空から一部始終を見ているであろう琴里に睨みをくれてやってから道を戻っていった。

?

「ふぅ、落ち着いたし戻るか」

アクセサリーショップからかなり離れた雑居ビル付近の自販機から二人分の飲み物を取り出して息を吐く。折紙のせいでドクドクと早鐘を打っていた鼓動は今は治まっていた。携帯で現時刻を確認し、飲み物両手に歩いていると、少し小さめの西洋風のお城の前に見覚えのある青年と少女がいるのを視界に捉える。

「・・・士道? それにあの女は・・・ってそんなわけないか」

暁夜は頭を振って、止めていた足を動かそうとして、

「やべっ!?」

ズサっと、建物の陰に隠れた。というのも、西洋風のお城の方から暁夜のいる方向へと士道と十香に似た少女が歩いてきたからだ。息を潜め、気配を殺す。徐々に士道達の姿がハッキリと見え、驚きに目を見開いた。

「やっぱり・・・『プリンセス(精霊)』。それにしても空間震を起こさずに来れる方法があるのか?でも、なんで今日だけ空間震を起こさなかったんだ?とりあえず、報告だな」

暁夜は士道と十香がいなくなったのを確認し、携帯を取り出し、アドレス帳から番号を選択して電話をかけた。

そして。

「−−AST、崇宮暁夜二曹。 A−3108」

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