デート開始!
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していく。やがて、折り畳まれた形状から、白塗りの片手剣の形状になった。その柄に手を添えて、この数年で身につけた気配察知を使用する。透明な蜘蛛の糸が張り巡らされた空間。否、意識空間。実際には蜘蛛の糸など張り巡らされていないが、暁夜には蜘蛛の糸が見えている。気配を教えてくれる糸が。これは、気配察知能力を身につけた暁夜だからこそ出来る技術。
(・・・いた)
暁夜にしか見えない蜘蛛の糸が揺れ、対象がいることを知らせる。揺れの具合によって、数と性別がわかる。二回、蜘蛛の糸が揺れた。
(『プリンセス』発見)
残り数秒で教室内に到着する。足を教室内に踏み入れた瞬間、必殺の一刀を放つ。
(5...4...3、2、1...0!)
カッと閉じていた目を見開き、目にも止まらぬ速さと無駄のない動きで《アロンダイト》を横向きに一閃。 それと同時に激風が生じ、殺していた音達が一斉に暁夜の五感に流れ込む。風の音や呼吸音、服の擦れる音といった全てが。しかしその中に、悲鳴や苦鳴の音はなく、ましてや金属と金属のぶつかる甲高い音や火花の散る音さえも響かない。ただ、暁夜の耳にするりと真っ先に入ってきた音は、少女の声だった。
「−−−無粋」
それは穏やかな声でも悲しげな声でも、ましてや歓喜の声でもない。
その声は−−音は−−
静かな『怒り』だった。
「・・・・っ」
ギリッと歯を食い縛り、暁夜の身体が吹き飛ばされる。−−が、壁に背を直撃するより早く、《アロンダイト》を床に刺し、衝撃を殺しつつ、柄を握る手を一瞬離し、壁に足裏を当て、完全に衝撃を殺しきり、着地してみせた。
「ち―――また、貴様か」
必殺の一刀を容易く受け止め殴り飛ばした十香は、唾棄するように言う。 暁夜は士道を一瞥すると、安堵したかのように小さな息を吐いた。しかしすぐに《アロンダイト》を構え直し、十香に鋭い視線を送る。
「……………」
その様子を見た十香は、ちらと士道を一瞥してから、自分の足下の床に踵を突き立てた。
「―――<鏖殺公>!」
瞬間、教室の床が隆起し、そこから玉座が現れる。
「ちっ。 天使か!」
舌打ちし、《アロンダイト》の柄を強く握り床から引き抜くと共に、加速。淡い青の光を帯びた刀身が紅闇色の光に染まり、不気味な輝きを放つ。グァンッ、と下方向と上方向から同時に<鏖殺公>と呼ばれる巨大な剣と《アロンダイト》が激突し、火花を散らした。 さらに激風が生じ、その場にいた士道が校舎の外へと吹き飛んでいく。
「のわぁぁぁッ!?」
『ナイスっ!』
インカム越しから琴里の声が響くと同時に、士道の身体が無重力に包まれる。不思議な浮遊感を感じな
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