対話
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ーターの藍鳴です。 いかが致しましたか? 暁夜さん』
「いかが致しましたか?じゃねえよ。なんで、迎撃を開始した? 先程、人質が一名と報告したはずだが?」
苛立ちのこもった声で、オペレーターに尋ねる。だがそれに対し、
『申し訳ございません。 報告は入っていましたが、上の方から、今すぐ迎撃しろとの事でしたので』
冷静沈着な声音でオペレーターは答える。
「つくづく思ってたが、オペレーターちゃんはお偉いさんの命令には従順だな」
『ええ、軍の人間として当たり前のことです。暁夜さんの場合は仕事に私情を持ち込みすぎなのでは?』
「−−っ」
オペレーターの言葉にぐうの音も出ない。確かに『軍人たるもの戦争に私情を持ち込むべからず』というのが、当たり前だ。動物一匹、建物一つ、人一人。 犠牲が一つなら、関係ない。犠牲を最小限にする事が《AST》の仕事で、市民全員を救う事が《AST》の役目ではない。
「−−」
暁夜は下唇を噛み締める。痛みが生じ、皮が裂け、一筋の血が口元を伝い、床に落ちる。命令違反を起こせば、軍はクビになる。それは『精霊』を殺す事が出来なくなるという事だ。本来、暁夜は半精霊に属すが、《アロンダイト》とセットにすることで初めて力を発揮する。《アロンダイト》がなければ、数秒も保ずに死に至る。多少は精霊として力を発揮出るが、それは半分だ。 半分の力では、精霊に属する存在には勝つことは不可能。
暁夜が打開策を考える間にも、ガガガガガガガッ、と二年四組の教室付近の壁を弾丸が貫く音が響く。 このままでは、士道が死んでしまう。それだけはなってはならない。
「なぁ、オペレーターちゃん」
『はい、何でしょうか?』
「万が一、俺が命令違反を今から起こすって言ったら、止めるか?」
『−−いいえ、止めません。 あなたがしたいようにすればよろしいかと思います』
オペレーターの返答に、暁夜は、やっぱりな。という息を吐き、随意領域を解除する。 それにより無重力の空間が消え、全身が重りを身につけたかのように重くなる。先程まで緩和され忘れかけていた痛みが全身を襲う。気を抜けば一瞬にして、意識を失ってしまいそうだ。
「・・・っ」
ズキズキと痛む頭を片手で押さえながら、もう片方の手で壁に触れ、二年四組の教室まで戻り始めた。
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