対話
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片が暁夜の背中や腕、脚などに突き刺さる。
「・・・っう」
熱々の鉄板に背中を押し付けられているような激痛に顔をしかめる。木の破片で裂けた額から血が流れ、鼻を伝い、床に落ちる。ふと、頭に影が差す。 暁夜が視線を上に上げると、いつの間にか、巨大な剣を構えた『プリンセス』がこちらを見下ろしていた。どこか哀しげな瞳で。微かに巨大な剣を握る手が震えていた。まるで、私にお前を殺させないでくれ、と訴えているみたいだ。
「なぜ・・・おまえは、私を殺そうとする?」
寂しげな瞳を暁夜に向け、巨大な剣の切っ先を向けたまま、尋ねてくる。それに対し、暁夜は鼻で笑った後、
「誰が教えるかよ、バーカ」
と、『プリンセス』に向かって中指を立てた。その意味を知らない少女だが、侮辱されたということは雰囲気的に気づいた。
「−−そうか」
『プリンセス』は寂しげにそう呟き、巨大な剣を掲げ、暁夜の身体を切り裂くように振り下ろそうとした・・・瞬間、
「ま・・・待ってくれ!!」
激風で破壊された二年四組の扉の方から、暁夜とは別の青年の声が響いてきた。その声に、ピタリと、巨大な剣を振り下ろしかけていた少女の動きが止まる。 ギロりとした瞳ではなく、相変わらず寂しげな瞳を、声のした方へと少女は向ける。勿論、暁夜もだ。
「な、なんで・・・来たんだ? 士道」
暁夜は扉の前に立つ青年の名を呼ぶ。
青髪に茶色の瞳。 童顔でどちらかというとイケメン枠に属する親友、五河士道。
彼は緊張したような面持ちで『プリンセス』と暁夜を見つめていた。
「おまえは−−何者だ?」
暁夜に巨大な剣を向けたまま、士道を片目で睨む。そのひと睨みだけで身体がすくんでしまう。だが、逃げない。彼女を救いたいから。きっと、彼女は悲しんでいたのだ。 頼れる人はおらず、敵ばかりがはこびる世界で。たった一人で、泣いていたのだ。だから、士道は背中を見せない。
「お、俺は−−」
士道は意を決して、名乗りを上げる瞬間、
『待ちなさい』
耳に取り付けたインカムから、琴里の制止の声が聞こえた。
?
<フラクシナス>艦橋のスクリーンには今、光のドレスを纏った精霊の少女が、バストアップで映し出されていた。愛らしい貌を刺々しい視線で飾りながら、カメラの右側―――士道の方を睨みつけている。
そしてその周りには『好感度』を始めとした各種パラメータが配置されていた。令音が顕現装置で解析・数値化した、少女の精神状態が表示されているのである。すでに《フラクシナス》に搭載されているAIが、士道と『プリンセス』の会話、そして暁夜と『プリンセス』の会話もタイムラグ無しで、恋愛ゲームによくあるログのようにテキストが残され、現在の会話文が
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