再び
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、黙って歩き続ける。 やがて、東校舎四階、物理準備室の前に辿り着く。
「さ、入りたまえ」
「あ、えーと、はい」
令音に促され、暁夜はスライド式のドアを滑らせた。 そしてすぐに眉根を寄せて目をこする。
「・・・は?」
思わず間抜けな声を零す。 しかし、それは無理もない。 何故なら−−物理準備室とは掛け離れた構造をした部屋だったからだ。
コンピュータにディスプレイ、その他見たこともない様々な機械で部屋中が埋め尽くされていた。さらに驚くことにその中心に、負のオーラを漂わせた見慣れた青年の背中と、殿町がやっているようなギャルゲー?と呼ばれる恋愛シミュレーションゲームの画面があった。
「なぁ、あいつ何してんの?」
「ん? あぁ、彼は今、訓練中さ」
少し引き気味の声音と表情で、令音に尋ねると、そんなアホくさい答えが返ってきた。ふと、視界をずらすと、チ○ッパチ○プスを咥える琴里を見つける。と、琴里もこちらに気づき、咥えていたチ○ッパチ○プスを手に、口を開く。
「遅かったわね、崇宮暁夜」
「前も言ったが、お前らを手伝う気は無いからな」
「ええ、それは分かっているわ」
琴里は足を組み替えて、不敵に笑う。
「なら、なんで俺を連れてきた? 理由があってのことなんだろう?」
「それはもちろんよ。 ただ、あなたには私達がどのようにして『精霊』の力を封印するのか見ててほしいのよ。 それで、もし、『精霊』の力を封印できたら、私達を手伝ってくれるかしら?」
「はぁ。 結局、勧誘じゃねえか。 無理なもんは無理なんだよ、バーカ。夢物語は寝て言え。ガキ一人でどうにかなるもんじゃねえ事ぐらい、士道でも知ってるはずだ。現実はアニメや漫画みたいに上手くいかねえんだ」
暁夜はそう吐き捨てる。
ヒーローは誰だってなれるわけじゃない。
これは当たり前。
人は魔法や超能力なんて使えない。
これも当たり前。
結局、この世はそうやって出来ている。確かに魔術師がいるのは知っている。だからって、空を飛ぶ事や瞬間移動する事が当たり前にできるとは限らない。人には向き不向きがあり、限界がある。 『精霊』を救うか、殺すか、一か八かの対話より討滅の方が成功率は高い。力を持たぬ者が、身に余る選択を取るのは無駄死にと変わらない。
「だから大丈夫って言ってるじゃない。 士道は特別だって」
「特別? 特別なら人間一人、犠牲にしてもいいと? お前には人の心がないのか?妹が、兄を危険な目に? お前、それを家族って呼べるのか? そんなもの家族なんて言わない。 お前がそうだと思っても俺は否定する。家族ってもんは、金や地位よりも大切で、一度失ったら二度と戻らない絆で繋がった存在の事を言う
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