誘い
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。立場をわかっていない行動と態度に、《フラクシナス》内の人々は唖然とする。大して、琴里は青筋を立てて、苛立ちのこもる声で告げた。
「ええ、教えてあげるわよ! 耳の穴かっぽじってよーく聞きなさい! 」
「その前に、椅子に座っても構わないか?」
「ええ、いいわよ。神無月。 彼に椅子を持ってきて」
琴里は、金髪に長身の男性、神無月恭平にそう指示する。暫くして、椅子を持ってきた神無月にお礼をし、暁夜は腰を下ろす。それを確認した後、琴里は説明を始めた。
「私達は《ラタトスク》。 精霊を殺さず空間震を解決するために結成された組織よ」
「精霊を殺さず? そんな方法があるなら、こんなにも犠牲は出ていないはずだ」
「ええ、そうね。でも、私達には秘密兵器があるのよ」
「・・・」
暁夜は眉をひそめて考えを巡らせた。精霊を殺さない二つ目の対処法、そんなものを思いつくような馬鹿みたいな組織があるとは想像していなかった。だが、彼女は秘密兵器があると言った。 なら、それを聞くべきだろうと暁夜は考えた。
「・・・で、その秘密兵器ってのはどんな代物なんだ?」
「残念だけど、貴方が思っているような代物じゃないわよ。 ましてや、物ではないかしら」
「物では無い? って言うと、ロボットか?」
「それも違うわ。 正解は−−貴方もよく知っている人間よ」
琴里はそう言って、チ○ッパチ○プスの口にくわえていた部分の方を突きつけて、フフンと笑った。 その言葉に、暁夜は瞬時に誰の事かを理解する。それは許されることではない。暁夜に教えることは禁句とされる人物の名前だ。
「まさか−−本気なのか? お前は、それで平気なのか? 琴里」
「ええ、平気よ。 それにもう、本人から許可は降りたもの」
そう告げたタイミングで、見計らった様に、背後の扉がスライドする音が聞こえた。そちらに顔を向けると、制服姿の士道が立っていた。暁夜はすぐさま、士道に駆け寄り、胸倉を掴んだ。
「なぁ、士道。 俺の質問に答えろ。琴里が言っている精霊を殺さずに救う秘密兵器ってのはお前の事でいいのか?」
「あ、あぁ」
暁夜の言葉に士道は揺れる瞳をこちらに向け、首を縦に振った。その頷きに対し、暁夜はギリッと下唇を噛み締める。チクッとした痛みが生じ、唇の皮が裂け、血が流れる。ただ、それに気を止める暇はない。それ以上に思考がドス黒い怒りの感情に塗りつぶされていく。
「・・・けるな」
暁夜からボソリと小さな声が漏れた。
「・・・え?」
「・・・ッけるな!! 精霊を救う? なんの力も持たない一般人のお前が? どうやって! また、お前はそうやって精霊を救うのか? 助けるのか?」
暁夜の口から怒りの感情をの
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