第1ルート:十香デッドエンド
プリンセス
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とを悟り、大きな剣を地面に突き刺した。そして、悲しげな表情を浮かべ、青空を見上げて、呟いた。
「また・・・私は・・・殺めてしまった」
自分の犯した過ちに胸が締め付けられる様に痛くなる。彼女は、人を傷つけることに痛みを感じていた。本当は殺したくない。傷つけたくない。 でも、自分がどれだけそう思っても、人間は自分を殺しにくる。彼女の話は聞かず、見た目だけで危険な奴だと決定づけて。 そして−−今日殺めた男も彼女を見て殺意を向けた。本当は、あの男が誰なのか?知っていた。否、覚えていた。幾度となく、彼女に、奇怪なメカニック衣装を着ていないながらも剣ひとつで戦う男。武器の名前も知ってはいた。ただ、毎回知らないふりをしていたのは、皮肉にもきっとどこかで会話をしてくれる人間がいることに喜びを感じたからかもしれない。
「・・・崇宮暁夜」
『プリンセス』は、死に体となった男の名前を呼んだ。刹那−−
「やめろ・・・ッ! 暁夜!!」
背後から青年の声が響いた。『プリンセス』がその声に反応し背後を振り返ると、《アロンダイト》の先端が鼻先スレスレに突き出されていた。その剣から視線をずらしていくと、柄を握る手が見え、徐々に全体像を視界に捉える。
風により飛んできた尖った石に額を割かれ、《アロンダイト》を握っていない方の腕がありえない方向にへし折れた紅闇色の瞳に色素の薄い青髪の青年が立っていた。
「はぁ...はぁ...」
荒い息を吐きながら、乱れた呼吸を治す暁夜。先程までの元気の良さが嘘のように無くなっていた。 というのも、先程の攻防の中で、暁夜は咄嗟に風を腕に纏わせ、『プリンセス』の放った激風にあろう事か左手で触れ、その反動で方向転換したのだ。その時に、腕に覆われていた風が吹き飛び、『プリンセス』の激風の威力を殺しきれずに腕がへし折られたのだ。だが、あの時、咄嗟にその行動に出なければ、腕だけではすまなかった。
「なぜ、止めた? 崇宮暁夜」
「はぁ・・・はぁ・・・。 アイツがやめろって言ったんだよ。ありがたく思え」
暁夜は乱れた息を整え終えて、《アロンダイト》の擬似天神を解除する。すると、白塗りの片手剣を覆っていた白緑色の光は霧散し、淡い青の光が再び放出される。そして、折れた左腕を気にすることなく、『プリンセス』に背を向けた。
「今日はもうやめだ。そろそろお前も消失する時間だろうしな」
《アロンダイト》を肩に乗せ、そう告げた。それと同時に、『プリンセス』の全身を淡い光が覆った。 否、『プリンセス』の身体が足元から順に淡い光の粒となって、消失しているのだ。
「また会う時は、俺とまた殺し合いしようぜ、『プリンセス』」
「ふっ。 今度こそ徹底的に叩きのめしてやろう。 崇宮暁夜
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