第三幕その十二
[8]前話 [2]次話
「それで中々食べられないのは」
「そうですよね、ですが毒があるので」
「それでなの」
「河豚自身を守ってるんです」
「毒があるから人もあまり食べなくて?」
「海の生きものもです」
人間以外の生きものもというのです。
「食べないですから」
「河豚自身を守っているのね」
「そうなんです」
「それで毒があるのね」
オズマも納得しました。
「成程ね」
「実際日本以外の国じゃ殆ど食べないみたいですし」
「中国では昔は食べてたけれど」
中国人の神宝が答えます。
「今はもうね」
「ブラジルではアマゾンのお魚の中にいるかも知れないけれど」
カルロスは首を傾げさせています。
「やっぱり食べないと思うよ」
「アメリカでもこうしたお魚はね」
ジョージも言います。
「食べないからね、どうにも」
「ロシアでは河豚自体殆ど知られていないわ」
最後にナターシャが言いました。
「そもそもね」
「そうよね、日本以外の国ではね」
日本人の恵梨香も言うのでした。
「まず食べないお魚ね」
「というかそこまでして食べるってね」
ガラスの猫がここで言うことはといいますと。
「ある意味凄いわよ」
「毒があっても毒がある部分を切り取って食べるなんてね」
つぎはぎ娘も言います。
「普通しないからね」
「努力ーーいえ熱意ーーでしょうーーか」
チクタクはこう思いました。
「美味しいーーものをーー食べようーーとーーいう」
「その意気は認めていいわね」
ガラスの猫は右の後ろ足で耳の後ろを掻きつつ言いました。
「日本人のね」
「そういうものかしら」
「ええ、あたしは認めてあげるわ」
ガラスの猫は恵梨香に言いました。
「だから感謝しなさいよ」
「そこで感謝を求めるの?」
「ええ、駄目かしら」
「ちょっと違うんじゃないかしら」
「じゃあどうすればいいのよ」
「そう言われると困るけれど」
「じゃあ感謝は求めないわ」
恵梨香が困るならというのです。
「あたしが認めるだけでね」
「そうなのね」
「ええ、とにかくこのお鍋をね」
「出すことは考えていきましょう」
オズマはガラスの猫に言いました、そうして一行は今は河豚鍋を楽しむのでした。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ