親子の絆
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誰かと重なる老人の姿。見た目も何もかも全く違うのに、彼女にはとある人物がその目に浮かんでいた。
「こうなったら俺が・・・」
「待ってください!!」
星崩しの体勢に入ろうとしたジェラール。しかし、それを妖精軍師が止めた。
「オーガストと言いましたね」
「・・・何か?」
メイビスはその目を見た時、確信を持った。これまで憎悪のそれしか持ち合わせていなかった彼の優しげな瞳。それだけで自分の仮説を信じるに足るものだった。
「あなたはゼレフの子供なんですね?」
「「「「「!!」」」」」
ようやく気付くものが現れた真実に、オーガストは頬を緩みそうになった。
「そうだ。だが、それを陛下は知る必要はない」
「そうですね。でも・・・」
自分の胸に手を当てたメイビス。彼女の目から一粒の滴がこぼれ落ちた。
「母である私は、知っておかなければならないと思いました」
「「「「「!!」」」」」
戦場に広がる衝撃。中でも一番それを受けていたのは間違いなく彼であろう。
「なぜ・・・それに・・・」
「あなたは、世界に拒まれ続けていたゼレフと思考が似ていました。そして、どこか私にも似ているように感じたんです」
何がそう思わせたのかはわからない。それでも彼女は、オーガストが自身の子供であることにたどり着いた。
「ゼレフは私が倒す・・・いえ、違いますね」
顔を上げて実の我が子に向き合う少女。その目には母親の優しさが感じ取れた。
「お父さんは私が救います。だから・・・手を貸してください」
自分にできることはゼレフの手助けをすることだけ。そう思っていた。しかし、目の前の少女はそれ以上に彼のため・・・そして、自分のためになることを提案してきた。
「私は・・・」
心が揺れ動くオーガスト。そんな彼にメイビスは歩み寄っていく。
「初代!!」
「待て!!エルザ!!」
みすみす敵に無防備にも歩み寄る彼女を止めようとするが、ジェラールが割って止める。メイビスは動けないオーガストを抱き締めた。
「私を信じて・・・オーガスト」
「・・・」
真剣に人を思う純粋さ。我が子に向けてくれる迷いのない愛。真実の愛に触れた彼の目からは、涙が止まらなくなっていた。
「私は・・・ずっとこうしてお母さんとお父さんに抱かれたかった・・・」
ずっと受けてこられなかった愛情に崩れ落ちるオーガスト。彼の体から放たれる光が消えた時、戦いが終わったことを全員が察した。
「・・・信じて・・・いいのか?」
「いいわよ。親子の絆は、絶対に切れたりしないんだから」
まだオーガストが味方になることが信じられないエルザ。そんな娘の頭を母が撫で回す。
「これで希望が見えてきた
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