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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
親子の絆
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オーガストはギリギリで堪えてみせた。

「バカな・・・」
「まだ立てるというの?」

これで終わるかと思っていた。しかし、そこは魔導王の二つ名を持つオーガスト。たった一撃で倒されるほどやわではない。

「私は・・・生まれながらに強大な魔力を持っていた。ゆえに捨てられ、疎まれ、生きることの行き止まりの壁に着いた時、陛下に命を救われた」

彼が語り出したその時、メイビスは何かを感じた。彼の言葉から感じられる重みと、彼の雰囲気から。

「スプリガン16(セーズ)筆頭魔導士オーガスト。例えこの身が砕けようと、汝らを駆逐せん!!」

全身が輝き出したオーガスト。だが、それは魔力によるものではない。いや・・・正確に言えば魔力によるものなのかもしれない。ただ、彼が輝いているのは体内に留められた強大な魔力によってのものなのだ。

「なんだこれは・・・」
「今まで感じたことがない魔力・・・」

あまりの魔力の大きさに目を疑うエルザとアイリーン。その近くにいたウェンディは、この魔法の正体をすぐに察した。

「神の領域・・・」

レオンが天海を倒すために使用した究極の魔力増幅魔法。自らの生命を危機に陥れるそれを、オーガストは平然と使ってきた。

「それは体の温度を高めてしまう魔法です!!やがて脳を溶かし命を危険に晒してしまうんですよ!!」
「知っておるよ」
「え・・・」

ウェンディの呼びかけに答えたオーガストは無表情だった。

「私の命で陛下の役に立てるなら、喜んで礎になろう」

父であるゼレフにその存在を気付いてもらうことはできなかった。それでも彼は構わない。自分が彼の役に立ち満足させられるなら、喜んで父のために命を捨てようと決心したのだ。

「命を何だと思っているんだ・・・」

彼の決意には感心するものがある。それでも、緋色の剣士はそれを許すことができなかった。

「この戦争は多くの犠牲が生まれている・・・散っていった仲間たちのために生きなければならない・・・それなのに貴様は・・・」

容易く命を投げ出す身勝手さに体が震えている。怒りを露にした剣士は袴とさらし姿に換装すると、最高の剣で男に立ち向かっていった。

「その程度で私に挑むとは」

決死の覚悟で挑んだエルザだったが、オーガストはそれを虫でも払うかのように叩き落とした。

「ぐっ!!」
「エルザ!!」

地面を転がる娘を見てアイリーンも玉砕覚悟の接近戦に打って出た。それでもオーガストは難なく跳ね返し、二人は地面に横たわる。

「親子の愛などそんなもの。私には全く通じない」
「・・・」

異常なまでに親子の愛を否定するオーガスト。それを見ていたメイビスは違和感を感じ取った。

(何?この感覚・・・)


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