親子の絆
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た。
「・・・母さん」
やったの想いで口を開いたシリル。ヨザイネはそんな彼を潤む瞳でじっと見つめている。
「俺は、ずっと母さんがいるなんて知らなかった。いや、わかってはいた・・・でも、何かの事情で俺と一緒にいられなくなったんだって思ってたから・・・」
決して口にすることはなかった。そもそもヴァッサボーネが人間だったことすら知らなかった。てっきり母と父を失った息子を育ての親であるヴァッサボーネが育ててくれたのだと・・・しかし、それは間違いだったことを知る。
「母さんが自分を責めることないよ。だって、俺もわからなかったんだから」
母も子も相手が何者なのかわかっていなかった。ただ、何かを感じたのは確かではあったが、それが確信を持つほどのものではないことは仕方のないこと。
「俺さぁ・・・正直どうすればいいのかわからなくなったんだよね」
自然と流れ落ちる涙。少年はそれを拭おうとすらしない。
「母さんとこれからどうすればいいのか、全く検討がつかない」
母であるヨザイネとこれ以上戦う理由はない。しかし、これまで多くの仲間たちを殺めてきた彼女を、許してしまうことが本当に正しいのか。
「・・・私もね・・・この先のことがわからないの」
ようやく起き上がったヨザイネ。彼女は傷だらけの息子を見て、奥歯を噛み締める。
「本当はあなたを抱き締めたい・・・でも、私は私たちを引き裂いたドラゴンを許せないの」
ドラゴンたちの醜い戦い・・・それによって彼女たちは引き裂かれることになった。それを思うと、目の前にいるのが愛しの息子であっても、心から歓迎することができない。
「「どうすればいいの・・・かな?」」
ビュンッ
杖から放たれる魔法。それをアイリーンがギリギリで防ぐと、続けて彼女が反撃に出ようとする。
「遅い」
「!!」
魔力を放出しようとした、しかし、オーガストはそれよりも早くアイリーンの後ろに回り込み、彼女の首元に杖を叩き込む。
「流星!!」
その間にジェラールが捨て身の体当たり。オーガストには魔法がここまで一度も通用していない。それを踏まえれば、この判断は当然ともいえる。
「遅い」
「!!」
流れ星並の速度になったジェラール。それなのに、オーガストはそれを上回る速度で彼の背後を取った。
「ガハッ!!」
「ジェラール!!」
背中を叩かれ勢いよく地面に倒れる。それをエルザが心配し叫ぶが、そんな彼女の目の前に敵は現れる。
「親子の絆も、仲間の絆も崩れ去るがよい」
完全に隙を突かれたエルザは反応をする余裕がない。そのままオーガス
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