親子の絆
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「ジェラール・・・」
現れたナイトに嬉しいような、恥ずかしいような表情を見せるエルザ。間一髪で彼女を守ったジェラールは、オーガストを睨み付ける。
「あれで懲りたと思ったが・・・まだ陛下に楯突くつもりか?」
鋭い眼光を向けるオーガスト。ジェラールは彼の実力は十分にわかっていたが、一歩も引くことはなかった。
「俺は・・・エルザがいたから今、こうして生きていられるんだ。だから、絶対に守り抜いてみせる」
死を怖れない勇敢さ。それは誰から見ても明らかではあったが、オーガストはそんな彼を可哀想なものを見る目で見つめていた。
「希望を持てば勝てるとでも?」
そんな甘いものではないと言わんばかりに突進してくるオーガスト。ジェラールはそれを受け止めようとしたが、魔力の違いからなのかあっさりと吹き飛ばされてしまった。
「くっ!!」
「ジェラール!!」
地面を転がるジェラール。オーガストは彼に杖を向ける。
「親子の絆・・・愛し合うものの絆・・・どれも浅はかだな」
そう言い放った彼の魔法はジェラールを直撃し、彼は血を吐きながら宙を舞った。
タッタッタッタッ
その頃、アイリーンから距離を取ろうとしていたメイビスは突如その足を止めた。
「どうしたの?初代」
偶然マカオたちとはぐれたことでメイビスと一緒にいたのはキナナのみ。それが運がよかったことをこの時の二人は知ることはない。
「・・・戻らないと」
「え?」
突然のそんな言葉にキナナは首を傾げた。彼女が引き留めようとするよりも早く、メイビスは元来た道を走り始める。
「ちょっと!!初代!!」
慌ててそれを追い掛けるキナナ。彼女が何を感じ取ったのか、それは誰にもわからない。しかし、何か使命感のあるその表情を見れば、止めることなどできるはずがなかった。
「私は・・・どうすればいいの?」
地面に横たわったまま涙を流し続けるヨザイネ。そんな彼女の・・・いや、母の姿を見ていたシリルはただ黙して動かない。
「あなたのことを大切に考えてきたはずなのに・・・なんで400年も気付かなかったの・・・?」
自分の愛が間違っていたのかと嘆くヨザイネだったが、それは仕方がないことだった。
なぜならシリルは400年間生き続けていたわけではない。彼はヨザイネがいなくなった後、ドラゴンになったヴァッサボーネに魔法を教えられ、その後はすぐにこの時代へとエクリプスを通じて送り込まれた。
400年間の空白・・・それではいくら天使であるヨザイネと言えども、息子の魔力を感じ取ることなど不可能だっ
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