244部分:第十八話 運動会その二
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第十八話 運動会その二
「優勝目指すんだよな」
「佐藤、御前言ったよな」
「そうだよな」
「出るからには勝たないと意味がないわよ」
半ば売り言葉に買い言葉だった。星華を中心とした女子と男子がだ。それぞれ大会を前にしてまずはお互いで睨み合っていたのである。
「そういうことよ、優勝よ」
「マラソン、勝つんだよな」
「最後に出るあれも」
「そのつもりだよな」
「勿論よ」
星華は強い顔で言い切った。
「出るからにはって言ったわよね」
「言ったな、じゃあ絶対に優勝しろよ」
「いいな」
男子は口々に星華に対して言葉を返す。
「絶対にだからな」
「いいな、それ」
「優勝してやるわよ。それに」
そして、と。前置きしてさらに言ってみせた。
「四組も優勝するわよ」
「うん、そうよ」
「そうしましょう」
三人が彼女の力瘤を入れた言葉に頷く。だが頷いたのはその三人だけであった。四組はそんな有様だった。そのうえで運動会に赴くのだった。
運動会はだ。まずは三組と四組は競っていた。まさに一進一退だった。
今は百メートル走だが星華は快足で三組の女子を抜かして一等だった。陽太郎はそれを見て椎名に言った。彼は学生服姿だ。白い長ランを借りてそれを着ている。
「なあ」
「大丈夫だから」
椎名は既に陽太郎が何を言うのか察していた。
「全然平気」
「あれでか?」
「二等だったわよね」
「ああ」
「ここは二等でよかったの」
こう陽太郎に話すのである。
「負けるのはわかってたから」
「それでなのか」
「だから二等になる娘を選んだの」
「あの中でか?」
「そう、あの娘は絶対に二等」
椎名は断言していた。
「二等になる娘だから」
「あの顔触れになるってことはわかってたんだな」
「事前に調べておいた」
そうだったというのである。
「それでこっちも組んだから」
「情報収集は細かく、か」
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
椎名の好きな言葉である。
「そういうこと」
「そうか。それで狙い通り二等か」
「二等で御の字」
椎名はこうも言った。
「次は絶対に一等だから」
「次はか」
「次は一等になる娘を選んだから」
「それでか」
「そう。今回は絶対に一等」
そしてだ。椎名はこんなことも言うのだった。
「さっきの走る時は四組は絶対にあの娘が出るってわかってたから」
「佐藤がか」
「だから二等にしたの」
「一番速いのはぶつけないのか?」
「ぶつけない」
断言であった。
「競っても仕方ない。それなら二等でいい」
「そういうものか」
「二等は一回取って一等は二回取る」
「この競技三回だけれど二勝一敗か」
「そう。二勝一敗でいい」
椎名はここでだ。得
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