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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 2
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 「いえ、別の場所でも見掛けたので」
 では! と言って立ち去ろうとしたミートリッテさんが振り返り、「別の場所?」と呟いた少し後、両手をポン! と叩いて、にっこり笑った。
 「そのくらげ型の製品は、私の故郷で生まれて放置されたマスコットを元に作っている私物でして。流行してくれるのならそれはそれで嬉しいのですが、残念ながら私が聖職に就いている以上、これらを商売道具にはできないのです。バザーに出品する程度なら許されているんですけどね。フィレスさんが見たと仰っているのは、大きさ違いのぬいぐるみ二体だったり燭台だったりではありませんか?」
 「ええ、そうです」
 「でしたらそれは、私が神父への就任祝いとしてお父様に差し上げた物ですよ」
 「………………………………お父様?」
 「はい」
 師範の教会にあった「あの」ぬいぐるみと燭台は、ミートリッテさんがお父様に神父への就任祝いとして贈った物。

 ミートリッテさんが。

 お父様、に……?

 「……北の教会には、二人しか居なかったと思うのですが」
 ミートリッテさんはどう見ても二十代の女性だ。目が大きいから、頑張れば化粧次第で十代後半にも見えるかも知れない。
 それでも、あの二人では年齢が合わない。
 無理矢理辻褄を合わせようとすれば、(くつがえ)しようが無い立派な犯罪者が出来上がる。あまり考えたくない方向性……なの、だが。
 「はい。現在、あの教会に派遣している神父は「二人」で間違っていませんよ」
 他ならぬミートリッテさんに、現・聖職者の犯罪行為を示唆されてしまった。
 「………………失礼を重々承知の上でお尋ねしたいのですが、」
 「ふふっ 意地悪は良くありませんね。あの鬼畜神父の肉親と間違われるのは心外ですのでお答えしますが、「お父様」は今、次期大司教の執務室にいらっしゃいますよ」
 柔らかく微笑む自身の口元に手を当てて、ミートリッテさんは浴室へと去って行った。

 「……師範の……娘……?」

 なんだかよく分からない衝撃を受けて立ち尽くす、私を残して。

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 vol.3 【その頃、アルスエルナ上空】

 置いて行かれたあのヒト。
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 (あいつら、絶対つついてやる……っ)
 
 

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