242部分:第十七話 姿の見えない嫉妬その十五
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だ釈然としないけれどな」
「尻に敷かれるだけでなく世話も焼いてもらえる」
椎名はここでも言った。
「バランスは本当に取れている」
「じゃあ俺もか」
陽太郎は月美が作ったその弁当を食べながら述べた。
「そうなるのか」
「えっ、それって」
暫く黙っていた月美もここで声をあげた。
「私が陽太郎君を」
「ってなるのか?」
「言い換えると尽くす」
だが椎名は尻に敷くというのをこう変換してみせた。
「そういうこと」
「尽くすのね」
「つきぴーは尽くす娘」
その月美を見ながらの言葉であった。
「それも何処までも」
「よっ、この幸せ者」
「憎いね」
ここで狭山と津島がコンビになって陽太郎を囃す。
「美人で頭がよくてお嬢様でしかも性格もいい」
「凄い娘に会ったじゃない」
「だよな。俺こんな幸せでいいのかな」
陽太郎はかなり本気になってこう言った。
「料理も美味いしさ」
「斉宮はその幸せを守る義務がある」
椎名はその陽太郎にも言うことを忘れなかった。
「そしてつきぴーも」
「だからこその幸せか」
「斉宮のやるべきことはそのつきぴーを幸せにすること」
「それか」
「そう、それ」
まさしくというのである。
「わかった?」
「ああ、わかった」
陽太郎も確かな顔で頷いた。
「それはな。よくわかったよ」
「わかったらいい。それじゃあ」
「ああ、俺やるぜ」
弁当を食べながら言葉に気合を入れる。
「月美の為にな」
こんな話をしていた秋のはじめだった。陽太郎は自分の為すべきことを見つけた。そしてその為に強く決意もしたのであった。そんな秋だった。
第十七話 完
2010・8・14
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