プロローグC
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ら、今すぐ換金するか?それとも後日取りに来るか?」
「いや、今日は今すぐにでも欲しい」
「ん?今日はやけに食いぎみだな?…っと、そっか。今日はあの日か」
おやっさんが俺の顔を見ながらにやけた表情を向ける。
「良いご身分だなー。あんな可愛い妹とデート出来るんだから羨ましいぜ」
「その可愛い妹にたかられてるから金が必要なんだよ…」
「まぁ、それが男の懐の深さに繋がるってもんだ。今のうちに勉強しときな」
おやっさんは笑いながら素材を裏手に持っていき、袋を片手に持ってくる。
「ほら、持っていきな」
「…いやいや、おやっさん。流石にこれは貰いすぎだ。こんなに貰うほど目新しい素材持ってきてないぞ?」
おやっさんが渡してくれた袋には、素材を売っただけにしても考えられない程の金貨等が入っている。売買をするときの初めての約束として、お互いに適正価格で、裏切り行為はしないというのを心情にこれまでしてきたつもりだ。
「いいってことよ。そもそもお前が持ってくる素材は何故か知らんが、素材の品質が高いことが多すぎるんだ。そのお陰で思った以上に稼げてるしな。それに、今日は大事な妹の誕生日だろ?少しでも良い思い出にしてやれよ」
「おやっさん…」
普段の強面から想像出来ないほどに乙女の心と俺の懐事情を理解しているおやっさんに目を向ける。
おやっさんは恥ずかしいのか頭を掻いて、そっぽを向く。
「へっ、そんな顔するんじゃねえよ。男からの謝辞ほど要らないものはねえよ。大人しく持っていきな」
「顔が怖いだけじゃないんだな、おやっさんは」
「てめぇ!!今すぐ返しやがれ!!」
おやっさんが俺が持っている袋に手を伸ばすが、俺をその手を避けるように袋を持った手を動かす。
「折角のご厚意を無駄にするわけにはいかないから貰っていくよ」
「あぁ、その厚意を一瞬で仇にして返してくれてありがとよ!ちゃんと楽しい思い出にしてやれよ!」
「あぁ、分かってるよ!ありがとう!」
おやっさんに礼を言いながら、テューラを待たせた建物に向かうために足を向かわせる。
おやっさんの思いに応えるためにも最高のプレゼントを用意してやろう。
まぁ、最高になるか最低になるかは俺次第なのかもしれないが。
俺はそんなことを思いながら歩を進める。
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