第一章 護れなかった少年
第三十五話 選択(前編)
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首元を押さえつけていたPohの手が離れる。
壁にずるずるともたれかかりながら崩れ落ちる。
何でだ。どこで間違えた。わからない、わからない。脳がエラーをはき出す。
何もわからない。
「おい」
「――ぶごっ」
口の中にポーションが無理矢理流れこんでくる。HPゲージが段々回復していく。
「さぁ選べ。どっちを殺す?」
Pohのその言葉が信じられず、無駄だとわかっていながらも頭を必死に動かす。どうすれば二人を助けられる。待て、Pohは一度も僕を殺そうとしなかった。僕にポーションをのませるほどだ。何かしらあるんだろう。僕が死ぬと困ることが。だったら......。
「ああ、そうだ」
思考し、行動しようとする前にPohのそんな声が響いた。
「もし『死なれたくなければ二人を解放しろ』だとか抜かした場合、勝手に死ねばいい。だが、死んだら勿論二人とも殺す。生かす理由がなくなるからな」
駄目だ。完全に思考を先回りされてる。手が無い。あるとしても先回りで潰される。
......詰み?
そんな言葉が脳裏を過ぎる。
(駄目だ駄目だ、僕が諦めちゃ!! それじゃああの二人を助けられない)
でも、もう......何も思い浮かばない。二人とも助ける手段が、思い浮かばない。手段が無い。方法が無い。作戦が無い。力が無い。何も無い。この状況を打開しうるものが何一つ無い。
どうするどうすればいい......!?
「おいおい、ずいぶんと時間がかかるなぁ......。そうだ。いいことを思いついたぞ?」
悩んでいると、Pohがそんな声を上げる。
「ソラ、どっちを殺すか、選びきれないんだろう? だったら簡単だ。 両方、殺せばいいじゃないか」
「え?」
余りにも巫山戯た言葉に言葉を無くす。しかし、その瞬間こそ、隙となった。
「ザザ、ブラック、準備しろ。両方殺した方が良さそうだ」
二人のくぐもった叫び声が響く中、ザザと、ジョニーブラックが各々の獲物を用意し出す。考える時間はもう、無かった。
「わかった!! わかったからやめてくれ!!」
「Why? 何がわかったんだ? ちゃんと言ってくれないとわからないぞ、ソラ?」
Pohはわかっているだろうに、口角を上げながらそう答える。
「片方、選ぶから......。どっちを殺すか、選ぶから......」
そう言うことしか、僕には出来なかった。そんな姿を見て、Pohは笑う。さっきとは違う、歓喜に震えた笑い声だ。
「OK。じゃあ選ぶんだな。俺たちはそんなに気は長くない。さっさと選べよ?」
そう言いながらPohはザザ達に目配せをす
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