彼女の正体は・・・
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の名を口にした。
「シリル・・・シリル・アデナウアー」
シリル・・・ギリシア語のキュリロスに由来するとされており、貴族らしい、堂々とした、という意味が込められる。
「いい名前ね」
「よし!!今日からお前はシリルだ!!」
自分の名前がわかっているのか、パチパチと手を叩くシリル。この幸せな時が永遠に続くと思っていた。そう信じて疑わなかった。だが、その幸せはある出来事で簡単に終わりを告げた。
ドゴォンッ
幸せな家族を襲った突然の悲劇。その原因は、自分たちよりも遥かに大きな生物たちの戦いによるもの。
「ヴァッサボーネ!!シリル!!」
少しずつ大きくなっていたシリル。大切な我が子を守ろうとしたヴァッサボーネは、頭から血を流して動けない。その腕に抱えられている少年も、泣くことすらせずに黙してただ、動かない。
「なんで・・・どうして・・・」
親友も失い、彼女の分まで幸せになろうとしていたのに・・・待ち受けていたのは全てを奪い去るドラゴンたちの戦争・・・竜王祭。
「おお?なんだ、まだ生きてる人間がおるのか?」
そう言ったのは水色のドラゴンに足を乗せ、傷もほとんどないドラゴン。彼は息も絶え絶えのドラゴンを踏みにじりながら、ヨザイネを見てヨダレを垂らしている。
「逃げろ・・・君だけでも・・・」
この水色のドラゴンは、元々イシュガルに住んでいた人間との共存を望むドラゴン。彼はまだ息のあるヨザイネに逃げるように諭した。
「いいえ」
その言葉を聞いた少女は、鋭い眼光で優勢のドラゴンを睨み付ける。
「私はこいつを殺します」
人間の発言とは思えない台詞。それを聞いた水色のドラゴンは唖然とし、人間を食料としか思っていないそいつは大笑いした。
「我を倒す?人間が面白いことを―――」
それ以上の言葉を、そいつは口にすることはなかった。純白の翼を広げたヨザイネが彼の土手っ腹に風穴を空けたのだ。
「バカな・・・君は一体・・・」
水色のドラゴンは彼女のあまりの強さに目を見開いた。一方の少女は、動くことができない最愛の二人に歩み寄る。
「私と一緒にいたから・・・あなたたちはこんな最期を迎えてしまったのね」
涙を流す彼女は、手にはめていた指輪を外した。それを最愛の息子の左手の薬指にはめる。
「あなたがくれたこのオパールの指輪は、私が持つには相応しくないわ。あなたのアクアリウムの指輪と・・・一緒に・・・」
ヴァッサボーネとシリルの額にキスをする。彼女は二人が目を開けてくれないのを見ると、目頭を熱くしながらその場を去ろうとした。
「お前・・・これからどうするつもりじゃ?」
「私
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