彼女の正体は・・・
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いうこと!?」
「お前は私の大切な友人だ。だからこそ、この手で終わりにしたい」
霊峰ゾニアで語り継がれる白き天女と黒き天女の戦い。それは一人の男を奪い合った少女たちの物語ではなかった。
真実は、愛に目覚めた少女と禁断のそれを止めようとする友との、悲しき戦い。
天使と天使・・・人間たちからすれば神同士の戦いと言ってもいい。それは激しくぶつかり合い、この地を裂くほどのものだろうと思われていた。しかし・・・
「なんで・・・クロノス・・・」
戦いはものの数分で決着した。愛する男性を取り戻そうとしたヨザイネが、クロノスを瞬く間に倒してしまったのだ。
「お前のいない天界になど、興味はない。私は時を司る・・・そうだ、私の力で時の都を作ろう。そしてお前の幸せが、永遠に続くように祈っている」
そう言った彼女は自らの魂を封じ込め、ミルディアンの地で眠ることにした。ヨザイネは大切な友との別れと引き換えに、人間として、最愛の男性と友に暮らすことになったのだ。
それからさらに1年ほど経っただろうか、ヴァッサボーネとヨザイネの間に一つの新たな生命が誕生した。
「おお!!君にそっくりな可愛い女の子だな!!」
よくしゃべる青年は生まれたばかりの我が子を抱き締めそう言った。
「男の子だよ、ヴァッサボーネ」
その言葉に苦笑しながら答えるヨザイネ。二人の間に生まれた子供は、まるで大人しい女の子のような、生まれたときからわかるほどの魔力を内に宿した男の子だった。
「男の子か!!こりゃあ頼もしい子に育つだろうな」
「そうね」
まるでさっきと言ってることが違って思わず笑ってしまう。それに気付いたヴァッサボーネも盛大に笑っていた。
「・・・」
仲良さげに微笑み合う父と子。だが、ヨザイネの表情は晴れなかった。
「この子は人間と天使の子・・・ちゃんと育ってくれるのかしら」
人間は年と友に死へと近づくため、体が変化していく。しかし、天使には死という概念がない。そのため、ある一定のところまで体が成長すると大きくなれないのだ。
「ヨザイネ、ねぇ!!ヨザイネ!!」
「!!どうしたの?」
ボーッとしていた彼女に声をかけたヴァッサボーネは、笑顔を絶やさない赤ん坊を見せる。
「この子の名前、どうする?」
これから一生を担っていくことになる少年の名前。ヴァッサボーネはそれをヨザイネに託そうとした。
「あなたが決めて、ヴァッサボーネ」
「え?いいの?」
「えぇ。この子はあなたみたいな立派な人になってほしいから」
そう言われてはヴァッサボーネも断るわけにはいかない。しばらく彼の顔を見つめた後、ゆっくりとそ
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