24部分:第二話 受験の場でその十二
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
そういうことは絶対にしない。それどころか妹をいじめている人間がいれば誰であろうと立ち向かう人間である。そうしたことには強い拒否反応を見せるのである。それが彼なのだ。
「だからだ。いいな」
「まあ陽子のだったらいいけれどさ」
陽太郎もここで遂に頷いたのだった。
「それでお酒はないんだ」
「まさかカレーと一緒にやるのか?」
父はこのことを真面目に問うてきた。
「合わないぞ、カレーにはどんな酒も」
「それどころか気分が悪くなるわよ」
母も話してきた。
「絶対にお勧めできないわよ」
「わかってるさ。じゃあ仕方ないな」
これで観念した陽太郎だった。
「お酒はいいよ」
「明日飲め、いいな」
「ビール用意してあるから」
「ああ、ビールなんだ」
「とにかく今日は我慢してくれ」
「いいわね」
「わかったよ。じゃあ明日ね」
両親のその言葉に頷くのだった。
「それでいいから」
「それじゃあ食べるぞ」
「いいわね」
「いっただっきまぁ〜〜〜〜〜す」
陽子が手を合わせてから明るく言った。
「お兄ちゃんもね、一緒に食べよう」
「ああ、そうだな」
彼も妹の言葉に頷く。そうしてであった。
一家でその祝いのカツカレーとステーキを食べるのだった。誰もがそれぞれ祝いを受けていた。だがそれは終わりではなかった。はじまりでしかなかった。
受験の場で 完
2010・3・4
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ