164 後遺症(トラウマ)
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城ヶ崎もたかしの方へ余所見をしている隙に自分が押さえつけている男子から口の部分を勢いよく殴られた。城ヶ崎は口内に血の味がするのを感じた。その時、ベスが相手に飛びかかる。タロも太った男子の足に噛みついた。
「いてえ!この犬!」
太った男子はタロを放そうと首を絞めようとした。タロがこれまでにないくらい「キャーーーン!!」と喚く。
「タ、タローーー!!!」
城ヶ崎はベスが小柄な男子と格闘している間にその場からたかし達の所に向かった。
「その手を放しなさいよっ!!」
城ヶ崎は太った男子の手首を掴んだ。たかしもその男子の反対の手首を掴む。強引にも離れそうにないので二人はその男子の手首に噛みついた。
「いてえ!!」
その男子は噛みつかれたあまりにタロを手から放してしまった。
「ウエッ、こいつら!」
太った男子は噛みついている二人を地面に打ち付けて放し、まずたかしを引っ張り上げると、川の土手の下に落とそうとした。
「西村君っ・・・!!」
城ヶ崎はその男子を必死で止めようとした。先ほどベスが捨てた野球のボールがその場にあるのに気づくと、そのボールを男子に向かって投げ、背中に当てた。しかし、ベスと格闘していた別の男子がベスを何とか引き離すと、すぐさま城ヶ崎に跳び蹴りした。城ヶ崎の脇腹に命中し、城ヶ崎は再び動けなくなった。
「痛え!ウエッ、熊谷、こいつも川に捨てちまえ!」
「そうだな」
熊谷と呼ばれた小柄な男子は城ヶ崎のコートを掴むと、彼女の足を蹴りながら川の土手近くまで引っ張った。
藤木達はスケート場で滑った。世界大会を控えている藤木にとっては練習にもなれた。藤木はみきえと手を繋いで滑り、彼女にも少し照れたが、他に好きな女子がいるため、彼女らの事を考えるとさすがに鼻の下は伸ばせなかった。四人はスケートを満喫した後、川沿いの道を歩いていた。
「みきえちゃん、今日は楽しかったよ」
「うん、こっちこそ。美葡ちゃんのスケートも凄かったけど藤木君のも凄かったよ。リンクにいた人達を皆驚かせてたもんね。私も藤木君のスケート応援するよ」
「いやあ・・・」
川沿いを歩く四人。その時、藤木達は悲鳴と怒鳴り声を耳にした。犬の悲鳴も混ざり合っている。
「何だ?」
藤木達は声の方向を向くと、一人の男子が太った男子に、そしてもう一人の女子も別の男子に道路から河川敷へと投げ捨てられている所を発見した。藤木は投げ捨てられた二人は知っている顔だった。
「何あれ!?酷いね!!」
みきえは男子達の行動に怒りを覚えた。
「あ、あの人達は!」
一方、みどりはいじめている男子達に見覚えがあった。かつて堀へのいじめの主犯格であった小倉こうへいと熊谷まなぶだった。そしてその二人から暴行を受けているのはたかしと城ヶ崎だった。
「や、やられてる
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