164 後遺症(トラウマ)
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たかしは怒りが込みあがった。自分や城ヶ崎の犬が見知らぬ男子にグラブをぶつけられたからである。
「い、犬を、犬をいじめるなーーー!!」
たかしは太った男子に掴みかかって殴り、もう一方の小柄な男子にも殴った。
「あ、てめえ、調子乗んなよ!」
「ウエッ、こいつ男の癖して女子と仲良くしてるなんてよ、変な奴だな!」
小柄な男子がたかしを抑えつけた。
「小倉、やっちまえ!」
小倉と呼ばれた太った男子はたかしの顔を殴った。たかしは殴られ続ける。
「に、西村君っ!」
城ヶ崎はたかしが学校でいじめられていたことを思い出した。
(そうだ、あの時西村君がいじめられていた時はさくらさんが必死で庇っていた・・・。あの時は私はただ可哀想に見るしかできなかった・・・。でも今は私だって西村君は大切な友達・・・)
ここにいる男子達は各務田出吉や堀内竜一よりも非道な者かもしれない。しかし、逃げるとかただ見ているだけなんてたかしにもっと悪い。城ヶ崎は覚悟を決めた。
「やめなさいよっ!」
城ヶ崎は吠えた。
「ベスっ!」
城ヶ崎はベスにたかしを殴っている太った男子に掴みかかるよう命令した。ベスはボールを口から捨てると狼のようにその男子に噛みつくかのような勢いで飛び掛かった。タロが悲し気に吠える。その隙に城ヶ崎はたかしを抑えつけている男子に掴みかかった。
「西村君を放しなさいよっ!!」
城ヶ崎は小柄な男子の腕をたかしから解こうとした。しかし、相手も強情で簡単には解けない。城ヶ崎はその男子の髪や頬を引っ張ったりした。その瞬間にたかしは何とか脱出できた。
「西村君っ、大丈夫っ!?」
「う、うん・・・」
城ヶ崎はその男子から手を放すと、たかしを心配した。たかしの顔は殴られたせいで顔があちこち赤く腫れあがっていた。その小柄な男子は太った男子を助けようとした。
「ウエッ、この野郎、放しやがれ!」
小柄な男子はベスを太った男子から引き離そうと蹴飛ばそうとした。ベスが「キャン!」と悲鳴をあげる。
「ウエッ、このクソ犬め!」
太った男子はすぐさま立ち上がり、小柄な男子と共にベスを踏みつけ始めた。
「べ、ベスっ!私の犬に何するのよっ!このデブっ!焼きそば頭っ!!」
城ヶ崎は太った男子に体当たりし、焼そば頭と罵った小柄な男子にも飛びかかった。
「ウエッ、てめえ、誰がデブだって!?ウンコ頭!!」
太った男子が小柄な男子を抑えている城ヶ崎に襲いかかる。その時、たかしが決死でその前に立ち塞がり、城ヶ崎を庇った。たかしが太った男子の手首を掴む。
「ウエッ、この野郎!」
太った男子はたかしの腹を蹴った。たかしはその場で踞り、太った男子はさらに両足でたかしの背中に乗って踏んづけた。
(西村君っ・・・!!)
「キモいな、さわんじゃねえ!」
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